武蔵野美術大学 平成18年度卒業・修了制作展@
武蔵野美術大学 鷹の台キャンパス東京都小平市小川町1-7361/126(金)〜1/29(月)
9:00〜17:00
ムサ美の山から火が噴いた。そんなコピーがついた今年のムサビの卒業・修了制作展。
昨年に続いて観に行ってきました。
とにかく広い!
昨年の体験からある程度覚悟はしていたものの、やはりすべてを回ることはできず...。
それでも新鮮な発見が多くて、大満足です。
印象に残ったアーティストを。
・安田悠さん。

油彩の作品。
幻想的な風景のなかに感じるスタイリッシュな感覚。
水面に半身を沈めて佇む、仄かに彩られる景色の中に立つ、細身の女性の姿。なにか掴みきれない、でもその掴めない感じが心に優しく残るような。
静謐感が溢れる、独特の透明感。大人のファンタジーといった印象です。
・渡辺泰子さん。

昨年、
ギャラリー山口B1Fで開催され個展でのフェルトを使った作品が印象に残っていた渡辺さん、今回はさらに広い空間で、そのぶん大きなフェルトを用いてより広い風景のシルエットを再現していました。作品を壁固定するために使用された鋲が星のように感じられ、夜のイメージを喚起させてくれます。
また、今回は映像作品も。
高いところに設置されたモニター、青空に気球が飛び、それがだんだん空高く遠ざかっていくように4つ並んで映っている静止画。
「へー。何だろー。」と思いつつ眺めていた刹那、
スパーン!!!!Σ( ̄口 ̄;)突如画面の下から腕が伸びてきて、その青空のさらに高いところに、さらにちいさな気球を張り付けて、というより叩き付けてすぐ引っ込む。
マグネットかよ!Σ( ̄口 ̄;)といった具合に単純な作品ながら、かなりツボに入ってしまいました。
ファイルも拝見するとユーモア溢れるユニークな制作が多くて、今後が楽しみです。
・荻田波留子さん。
木製の筒状のドームには入口が設置されていて、そこに入ると中は真っ白、足元に白い鳥の羽。
扉を閉めて、スイッチを入れると筒の下部をぐるりと囲むように設置されたファンが一斉に稼動し、足元に積もっていた羽が一気にドーム内に舞い上がります。
その様子がきれいなのと、羽に覆われる切迫感と。
スイッチを切って、それまで浮かんでいた羽が降るのもまたきれいです。
外側には小さな穴にレンズが仕組まれていて、そこから中の様子が一望できるのですが、親子連れが入っているときの子供さんのはしゃぐ様子がなんとも微笑ましかったです。
・堀藍さん。
ユニークな作品が多かった版画のなかでもいちばん印象に残ったのが、堀藍さんの銅版画。
「GENBA」とタイトルされた一連の作品には、たしかに工事現場の光景が描かれているのですが、どこかのんびりとしていてなんとなくユーモラスでもあり、一方で影もあるような雰囲気がいい感じです。
大きな画面の作品でも、風景が細かく描き込まれることはなく、そのぶん小さく描かれるその現場で働く人の姿から、なんだか人生の味のようなものが滲み出てきているような。
小さな作品もよいです。その小ささが効いて、しっかりと雰囲気が出ています。
・古部満敬さん。
日本画です。
まず、教室の入口部分を暗室にし、そこで上映されていたアニメーションが面白い!
すすきが揺らぐ円形の画面に、左右から戦国の武者たちが歓声を上げながら突貫する様子、撤退する様子がひっきりなしに続きます。
さんざん高橋克彦の時代小説を読んだ自分としては、そのシーンが蘇ってくるような感じで、かなり楽しめました。
室内に展示されていた絵巻物も、いろんなシーンが織り込まれ、見応え充分でした。
・
深沢和美さん。
一度、ギャラリーエスで拝見したことがある深沢さんのガラスのオブジェ。
幾何学的なデザインが印象的で、それぞれ色や風味が異なるガラスの立方体スティックや板を組み合わせて組み上げられるオブジェは、なんだか宇宙を感じさせてくれます。
グラスをモチーフにしたような作品も面白かったです。
・市田真実さん。
広い壁面に整然と設置された無数の透明フィルム。それぞれ幾何学的な形をしていて、それが壁に並ぶ様子はそれはそれで迫力があるのですが、そこにスポットがいくつかの角度から当てられた瞬間、壁にフィルムを透過した影が映り、複雑な模様が姿を現し、驚きと感動が同時に押し寄せてきます。
このアイデアに感服です。
・松田亮太さん。
地下の展示室へ階段を降りていくとだんだん音が聴こえてきて、なんだろう、と。
音が鳴るほうへと向かっていったら、小部屋のなかでなにやら賑やかなインスタレーションらしきものが。
自転車か!Σ( ̄口 ̄;)今年もまた自転車か!!!Σ( ̄口 ̄;)いや、昨年も自転車を使った作品ですごいのがあったのを覚えていて、また今年も自転車を使ったユニークな作品の登場に歓喜した次第で。
言葉で細かく説明するとすごくややこしくなって結局伝わらない気がするので、ざっくり説明すると、ペダルを漕いで眼前奥のパーカッションを鳴らす、というもの。
音の選択は目の前の木製ベルトにバーを差し込んで、そのバーの突起がセンサーを通過することで電気信号化されて、パーカッションのスティックを動かすんです。
漕ぐスピードやバーの設定でちゃんと一定のビートも出せそうで、なんとか頑張ってみたのですがやはり一定に漕ぐというのが難しく。
でも、とにかく面白い!
この小部屋の入口近くの台の上に小品があって、こちらもほぼ同じような理屈で発音するものだったのですが、電動で動くのと出る音もユニークで、かなりアナログなミニマムミュージックマシーン、または最先端のトイミュージックマシーンって感じが興味深かったです。
もちろん他にも覚えておきたいアーティストもいたり、今回は観るのを最初から断念した映像や建築にもきっと見どころは多かっただろうな、と。
こういう展示に触れると毎度感じるのですが、こういった新しい感性に触れることが僕自身の感性をフレッシュに保つ大きな要素のひとつです。