2007年01月31日

review:伊賀美和子 新作展「Madame Cucumber」《1/20》

伊賀美和子 新作展「Madame Cucumber」
BASE GALLERY
東京都中央区日本橋茅場町1-1-6 小浦第一ビル1F
1/7(日)〜1/13(土)
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)
伊賀美和子1/19DM.jpg


美しいポートレートで綴られる、Madame Cucumberの物語。

伊賀美和子03

今年最初のBASE GALLERYは、伊賀美和子さんの写真の展示です。

ほとんどすべての作品に、おそらく実物は小さな、ご夫人の人形、というよりも模型が主人公として登場します。
透明のパネルにマウントされることでさらに作品の透明度が増し、一色に染め上げられた背景の色彩にも奥行きを感じます。

伊賀美和子02

展示されている1点1点それぞれに、ストーリーが浮かんできます。
どこかの風景写真をバックに撮られていたり、あるいはすべて模型で構成されていたり...ひとつひとつが回想シーンのように、マダム・キューカンバーを主人公とした物語が展開していきます。不思議と言葉をその作品ごとにつけていきたくなります。

伊賀美和子04

中には、ロマンチックなシーンや感情が大きくピックアップされた場面も登場します。
こういったシーンを、実際の人間を撮影した写真や、また逆に絵画やCGでもなく、模型を使って表現されているのが大変ユニークに感じられます。
そのことがユーモラスにも感じられ、また同時にシュールにも思えてきます。
そして、感情移入が絵画や普通の写真とも全然違って沸き起こるのもなんだか不思議な感じで新鮮です。

伊賀美和子01

今回展示された作品を収録された写真集もリリースされています。アクリルのパネルではなく、紙にプリントされた作品を拝見すると味わいも変わって、ぐっと身近でなんだか童心に帰って絵本を読むような楽しさと、同時にそこに綴られる時間がちょっとあやしい、というよりあぶない雰囲気も醸し出しているアダルトな感覚もあって、面白いです。
またこちらには、それぞれのシーンと合わせて伊賀さんご自身による言葉が添えられています。自分が作品を観て思い浮かべた言葉とのギャップもかなり興味深いです。
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2007年01月30日

review:武蔵野美術大学 平成18年度卒業・修了制作展《1/28》

武蔵野美術大学 平成18年度卒業・修了制作展
武蔵野美術大学 鷹の台キャンパス
東京都小平市小川町1-736
1/126(金)〜1/29(月)
9:00〜17:00
MAU2007.jpg

ムサ美の山から火が噴いた。

そんなコピーがついた今年のムサビの卒業・修了制作展。
昨年に続いて観に行ってきました。

とにかく広い!
昨年の体験からある程度覚悟はしていたものの、やはりすべてを回ることはできず...。
それでも新鮮な発見が多くて、大満足です。


印象に残ったアーティストを。

・安田悠さん。
MAU安田悠DM.jpg
油彩の作品。
幻想的な風景のなかに感じるスタイリッシュな感覚。
水面に半身を沈めて佇む、仄かに彩られる景色の中に立つ、細身の女性の姿。なにか掴みきれない、でもその掴めない感じが心に優しく残るような。
静謐感が溢れる、独特の透明感。大人のファンタジーといった印象です。


・渡辺泰子さん。
MAU渡辺泰子DM.jpg
昨年、ギャラリー山口B1Fで開催され個展でのフェルトを使った作品が印象に残っていた渡辺さん、今回はさらに広い空間で、そのぶん大きなフェルトを用いてより広い風景のシルエットを再現していました。作品を壁固定するために使用された鋲が星のように感じられ、夜のイメージを喚起させてくれます。

また、今回は映像作品も。
高いところに設置されたモニター、青空に気球が飛び、それがだんだん空高く遠ざかっていくように4つ並んで映っている静止画。
「へー。何だろー。」と思いつつ眺めていた刹那、

スパーン!

!!!Σ( ̄口 ̄;)

突如画面の下から腕が伸びてきて、その青空のさらに高いところに、さらにちいさな気球を張り付けて、というより叩き付けてすぐ引っ込む。

マグネットかよ!Σ( ̄口 ̄;)

といった具合に単純な作品ながら、かなりツボに入ってしまいました。
ファイルも拝見するとユーモア溢れるユニークな制作が多くて、今後が楽しみです。


・荻田波留子さん。
木製の筒状のドームには入口が設置されていて、そこに入ると中は真っ白、足元に白い鳥の羽。
扉を閉めて、スイッチを入れると筒の下部をぐるりと囲むように設置されたファンが一斉に稼動し、足元に積もっていた羽が一気にドーム内に舞い上がります。
その様子がきれいなのと、羽に覆われる切迫感と。
スイッチを切って、それまで浮かんでいた羽が降るのもまたきれいです。
外側には小さな穴にレンズが仕組まれていて、そこから中の様子が一望できるのですが、親子連れが入っているときの子供さんのはしゃぐ様子がなんとも微笑ましかったです。


・堀藍さん。
ユニークな作品が多かった版画のなかでもいちばん印象に残ったのが、堀藍さんの銅版画。
「GENBA」とタイトルされた一連の作品には、たしかに工事現場の光景が描かれているのですが、どこかのんびりとしていてなんとなくユーモラスでもあり、一方で影もあるような雰囲気がいい感じです。
大きな画面の作品でも、風景が細かく描き込まれることはなく、そのぶん小さく描かれるその現場で働く人の姿から、なんだか人生の味のようなものが滲み出てきているような。
小さな作品もよいです。その小ささが効いて、しっかりと雰囲気が出ています。


・古部満敬さん。
日本画です。
まず、教室の入口部分を暗室にし、そこで上映されていたアニメーションが面白い!
すすきが揺らぐ円形の画面に、左右から戦国の武者たちが歓声を上げながら突貫する様子、撤退する様子がひっきりなしに続きます。
さんざん高橋克彦の時代小説を読んだ自分としては、そのシーンが蘇ってくるような感じで、かなり楽しめました。
室内に展示されていた絵巻物も、いろんなシーンが織り込まれ、見応え充分でした。


深沢和美さん。
一度、ギャラリーエスで拝見したことがある深沢さんのガラスのオブジェ。
幾何学的なデザインが印象的で、それぞれ色や風味が異なるガラスの立方体スティックや板を組み合わせて組み上げられるオブジェは、なんだか宇宙を感じさせてくれます。
グラスをモチーフにしたような作品も面白かったです。


・市田真実さん。
広い壁面に整然と設置された無数の透明フィルム。それぞれ幾何学的な形をしていて、それが壁に並ぶ様子はそれはそれで迫力があるのですが、そこにスポットがいくつかの角度から当てられた瞬間、壁にフィルムを透過した影が映り、複雑な模様が姿を現し、驚きと感動が同時に押し寄せてきます。
このアイデアに感服です。


・松田亮太さん。
地下の展示室へ階段を降りていくとだんだん音が聴こえてきて、なんだろう、と。
音が鳴るほうへと向かっていったら、小部屋のなかでなにやら賑やかなインスタレーションらしきものが。

自転車か!Σ( ̄口 ̄;)

今年もまた自転車か!!!Σ( ̄口 ̄;)

いや、昨年も自転車を使った作品ですごいのがあったのを覚えていて、また今年も自転車を使ったユニークな作品の登場に歓喜した次第で。
言葉で細かく説明するとすごくややこしくなって結局伝わらない気がするので、ざっくり説明すると、ペダルを漕いで眼前奥のパーカッションを鳴らす、というもの。
音の選択は目の前の木製ベルトにバーを差し込んで、そのバーの突起がセンサーを通過することで電気信号化されて、パーカッションのスティックを動かすんです。
漕ぐスピードやバーの設定でちゃんと一定のビートも出せそうで、なんとか頑張ってみたのですがやはり一定に漕ぐというのが難しく。
でも、とにかく面白い!

この小部屋の入口近くの台の上に小品があって、こちらもほぼ同じような理屈で発音するものだったのですが、電動で動くのと出る音もユニークで、かなりアナログなミニマムミュージックマシーン、または最先端のトイミュージックマシーンって感じが興味深かったです。



もちろん他にも覚えておきたいアーティストもいたり、今回は観るのを最初から断念した映像や建築にもきっと見どころは多かっただろうな、と。
こういう展示に触れると毎度感じるのですが、こういった新しい感性に触れることが僕自身の感性をフレッシュに保つ大きな要素のひとつです。
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2007年01月29日

〜1/28のアート巡り

このブログの表のカウンターが30000を越えた先週の金曜日。
・・・僕は柄にもなく風邪などひいてしまい、寝込んでました。
おかげですごく楽しみにしていた落語に行けず...orz

もとい。

皆様、いつもありがとうございます。
今後もよろしくお願い致します。


《1/24》
☆吉田暁子「満散(みち)るちから」展
東京画廊
東京都中央区銀座8-10-5-7F
1/24(水)〜2/17(土)日月祝休
11:00〜19:00(土:〜17:00)
吉田暁子1/24DM.jpg


《1/25》
☆岩崎智子

東京都港区六本木6-8-14 Patata六本木203
1/25(木)〜2/17(土)木金土のみ
12:00〜19:00
岩崎智子1/25DM.jpg


☆Namiken I 展
新生堂
東京都港区南青山5−4−30
1/24(水)〜2/3(土)日休
11:00〜18:00(最終日:〜17:00)
Namiken1.jpg


《1/27》
・YUMEJUYA EXHIBITION
And A Shibuya
東京都渋谷区神南1-3-4
1/25(木)〜2/13(火)
11:00〜20:00
YUMEJUYA1/25DM.jpg

梅田店と同時に開催される、夏目漱石の短編小説「夢十夜」のなかの10のエピソードをモチーフに、それぞれひとり(ひと組)のアーティストが作品を制作するという大変ユニークなコラボレーション。
現在は、渋谷では第1夜から第5夜までの5作品がショップの各ポイントに設置されています。
グラフィック系のアーティストが多数ピックアップされていて、今回もADAPTERの黒とメタルグレーによるアーバンな作品など、普段回るギャラリーではお目にかかれない作品が観られて新鮮なのですが、なかでも昨年の黒田潔さんの個展期間中に開催されたトークイベントに出演されていた福井利佐さんの切り絵が拝見できたのが嬉しいです。
黒の紙が精緻に、綿密にカットされ、犬の毛並みなどひとつひとつの輪郭がシャープに再現されていて、その絵が醸し出す鋭利さと妖しさとに意識が吸い込まれていくような。また、切り抜かれた部分などの配色の妙にも独特の美しさが。
後半には、その黒田潔さんや、飯田竜太さんの作品が展示されるようなので、こちらも楽しみです。


・MADE IN THE SHADE あたたかいところ /By Ichigo Sugawara
reed space.
東京都港区南青山6-4-6
12/16(土)〜1/31(水)
11:00〜20:00
Ichigo Sugawara12/16DM.jpg

菅原一剛さんの写真の展示です。
DMを見つけて気になっていて、ようやく観に行けたのですが、まずこのreed space.という空間が面白い!
「学ぶ」がテーマになっているそうで、ショップエリアには朝礼台を模した階段やジャングルジムのような部分があって、そこにいるだけで楽しくなる空間です。
そして、奥のスペースがギャラリーになっています。
黒の壁に、DMの作品を中央に据え、その両脇に老人の立ち姿の写真。
坂本竜馬の時代の写真技術という「湿板写真」で、画面に乗る銀色が妖しく輝いています。
DMの作品はガラスにプリントされていて、壁の黒にその銀色が実に映えてなんとも独特な世界をつくり出しています。
この他、海を撮影した写真が素晴らしかったです。


・廣藤良樹 個展
@スルガ台画廊
東京都中央区銀座6-5-8 トップビル2F
1/22(月)〜1/27(土)
11:00〜19:00(最終日:〜17:30)
廣藤良樹1/22DM.jpg

茶系の色彩を多く用いた日本画。
ダムの雄大なシルエットを描いた大胆な構図の作品が特に印象に残っています。


☆灰原 愛 個展 〜胸のざわめき〜
フタバ画廊
東京都中央区銀座1-5-6 福神ビルB1
1/22(月)〜1/28(日)
11:00〜19:00(最終日:〜16:30)
灰原愛1/22DM.jpg


・日高理恵子展
TOMIO KOYAMA GALLERY
東京都江東区清澄1-3-2-7F
1/27(土)〜2/24(土)日月祝休
12:00〜19:00
日高理恵子1/27DM.jpg

このギャラリーの広々とした空間をまたしても充分に活かし切った展示です。
真っ白の壁に、真っ白の背景に樹木の枝々のシルエットが黒で描かれ、無彩色の静謐な世界が広がります。
実行はしませんでしたが、逆立ちして眺めてみたくなる展示です(僕だけか...)。


《1/28》
武蔵野美術大学 平成18年度卒業・修了制作展
武蔵野美術大学 鷹の台キャンパス
東京都小平市小川町1-736
1/126(金)〜1/29(月)
9:00〜17:00
MAU2007.jpg


・−自然の息吹− 野地美樹子 日本画展
@@池袋東武6F美術画廊
東京都豊島区西池袋1-1-25
1/25(木)〜1/31(水)
10:00〜20:00(最終日:〜14:30)
野地美樹子1/25DM.jpg

今回もおなじみのイスのシリーズと樹木のシリーズを中心に、昆虫が登場する作品や静物を描いたものなど、さまざまな野地さんのスタイルを見渡せる大変嬉しい展示です。
加えて、木々の葉によって緑に染まる雄大な峰にかかる虹を描いた作品や、一昨年のC-DEPOT展に出展されたおおきないちょうの木とネコとの作品など、もう一度観られて嬉しい作品も出展されています。
そして、ウィンドウに展示されていた、いちばんいい季節の青空と木の枝を描いた、これまで拝見したことがなかった雰囲気の作品があって驚きました。
・・・しかし、やはりデパートの展示は初日に伺わないと観られない作品があるなぁ、とあらためて実感した次第です。

野地さんから話は逸れますが、今月に船橋東武で開催されていて、どうしても時間の都合が付けられずに伺えなかった泉東臣さんの個展のことをスタッフの方に羽化がったところ、盛況だったとのこと。
観られなかったことを改めて後悔しつつも、充実した内容だったことが感じられて嬉しい限りです。
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2007年01月28日

review:"the days" いつもとちがういつも《1/20》

"the days" いつもとちがういつも
Vision's
東京都中央区日本橋堀留町2-2-9 ASビル1F
1/15(月)〜1/20(土)
12:00〜19:00(最終日:〜17:00)
the days 1/15DM.jpg

3人のアーティストによるグループ展。
無彩色の統一感。


昨年、今回と同じVision"sで開催された個展を拝見し、感熱紙を駆使したユニークなアプローチが印象に残っていた上村晴美さん。
入口すぐに展示されていた2点の小品。一方はカラーの紙、もう一方は細くカットされた感熱紙が、画面の上で編み込んであります。
もちろん感熱紙は熱や薬品を用いて変色させ、独特のグラデーションが施されてあり、それが細かく編まれて格子状になることで、ちいさな方形がたくさん画面に登場しています。
全体を観たときの無機的な質感と、至近でその方形のひとつひとつの表情の違いを感じる有機的な面白さが同居しています。

上村晴美the days02

さらに、今回の展示においては、インスタレーション的なアプローチが展開されています。
入口近くの壁際のドアがレシート幅の感熱紙で編み込まれていたり、ギャラリー内に何故か存在するマンホールの蓋も同様な細工がなされています。

上村晴美the days01

圧巻なのは、正面からいちばん奥の壁。
その全面を覆う感熱紙の網。
至近に立ち、感熱紙自体のグラデーションと、編み込まれることでこちらにも無数に現れている方形のなかに紡ぎ出されている画に視界を預けると、どこまでも遠くへとイマジネーションが続いていくような印象が。

上村晴美the days04 上村晴美the days05 上村晴美the days06

上村晴美the days03

感熱紙という、馴染みが深くてデリケートな素材を使用しているというのが上村さんのユニークなところでもあり、今後そのデリケートさ、弱さにどう対処しつつさらに発展していくのかが楽しみです。


小久保幸治さんは、3点の作品によってこのギャラリーのもっとも長い壁を使ってダイナミックに展開されていました。
手描きによって同じ絵が描かれ、それらが窓枠にマウントされて展示。
マンガの一コマを拡大したような、なんだか知ってるようで知らない絵に感じる親しみとインパクト。それらがあの大きさで3点並べて展示されているのはなんだか奇妙な感じです。

小久保幸治the days01


戸島大輔さんとは直接お会いできなかったのですが、写真がスチロールのパネルにマウントされて展示されていました。
白い画面にうっすらと広がる繊細なドット、それらは空に浮かぶ雲の静かな佇まいを思わせます。
もう一度、しっかりと拝見していみたい世界です。

戸島大輔the days02

戸島大輔the days01
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2007年01月27日

review:三井統 個展《1/23》

三井統 個展
ars gallery
東京都渋谷区神宮前5-13-1 アルス表参道
1/23(火)〜2/4(日)月休
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)
三井統1/23DM.jpg

昨年、同じars galleryで拝見して印象に残っていて、すごく楽しみにしていた三井統のちょうど1年ぶりの個展。
今回も、これまでに続いてペンによる線画の作品が並びます。

三井統1/23 02

1階は、小さな画面の作品。
ちょうどポストカード程度の大きさの紙のドローイングが、パウチラミネート加工され、ピン留めで壁から浮き上がるように展示されています。

昨年よりもさらに抽象度が増し、ひとつひとつの作品を観る際に何か具体的なものからのイメージの束縛から自由になれた印象です。
それぞれの画面で色彩の統一感があり、ある部分ではすらりと高速な印象を与え、また別の箇所では複雑でノイジーな軌跡を描きながら画面を錯綜する線と、その線から広がる影のように施された線よりは淡い色彩の広がりによって、リミットゼロへ、あるいは無限大へ、このどちらへもイマジネーションが突き進んでいきます。

三井統1/23 04 三井統1/23 01

三井統1/23 03


地下のスペースには、パネルの作品が展示されています。
ラミネートされていないぶん、紙の凹凸感やペンの軌跡など、画面の質感がぐっと迫ってきます。

また、1階の作品よりも画面が大きいだけ描かれる絵も大きくなり、それだけじっくりと眺めてしまいます。
相変わらず何か具体的なものが思い浮かぶのではないのですが、どこか荒涼とした風景のようであったり、宇宙空間を漂流する何物かだったり、壮大なイメージが涌いてきます。

三井統1/23 07 三井統1/23 05

三井統1/23 06


また、昨年に引き続き、今回も黒の画面に鉛筆の線が走る作品も出展されています。
黒の背景に鈍く光を反射する鉛筆の軌跡が重量感を醸し出しています。

三井統1/23 08


とにかくかっこいいです。
ファイルなどでご覧いただけるのですが、人物などが登場していた頃の作品も面白く、針金のインスタレーションなども興味深です(こちらはせひ一度拝見してみたい!)。
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2007年01月26日

review:コトバのある風景「ときたま」by土岐小百合/鈴木理策《1/21》

コトバのある風景「ときたま」by土岐小百合/鈴木理策
ギャラリーエス S zone
東京都渋谷区神宮前5-46-13 ツインエルビル
1/9(火)〜1/28(日)月休
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)
ときたま1/9DM.jpg



!Σ( ̄口 ̄;)

ときたま01

ああ・・・
こんな人生を送りたい...







と、ちょっと思った日曜日の午後の昼下がり(天候、微妙に曇り。だった気がする。)。











てか、すぐ忘れてたら僕の場合よろしくない訳ですが(汗)。






もとい!
もとーい!


気持ちいいくらいに「いっちゃってる」展示ですよいやホント。

真っ赤なつなぎを身に纏った謎のアーティスト(謎てオイ)、土岐小百合さんによるインスタレーションと、その土岐さんがこれまで開催されてこられた展覧会の様子を鈴木理策さんが撮影した写真が展示されています。


なにより、写真が美しい!
鈴木理策さんは昨年void+で開催された萱原里砂さんとのトークショーで、その際にプロジェクターで映し出された雪に埋もれた青森県立美術館のどこまでも深遠な白の写真が印象に残っていて、そのときに受けた印象とのギャップも大きくて驚いたのですが、今回の展示での写真はスパッとケレン味なく空間が切り取られていて、その潔さが爽快です。
土岐さんのファニーでキッチュな文字も写真の中で映えています。

ときたま05 ときたま04

ときたま06

インスタレーション、というかそういうコムズカシイ用語は置いといて、完全に「おもしろけりゃイイじゃん!」みたいな遊び心&サービス精神満載の作品が配されています。
なんかもう、ひとつひとつにツッコミを入れていきたくなる衝動が抑えられん...(笑)

ときたま03


ガチャガチャて!!!Σ( ̄口 ̄;)

・・・みたいな。


ピックアップされる言葉も...かなり笑えます。
イチハラヒロコさんの自虐的感情に満ちあふれた面白さとはまた別の、突き抜けたポジティブシンキングが最高です!

ときたま02

・・・で、その言葉がプリントされたポストカードが束で置いてあるのですが、お客さんがその中からいちばん気に入った、あるいは気になったものを手に取って、土岐さんが回すビデオの前で話す、というパフォーマンスも開催されていて。

・・・勢いに気圧されて撮られちゃいましたよ(汗)。
で、僕が選んだのがいちばん上の写真にあるカードってワケです。


この展示、少なくとも元気にはなれます(少なくとも、て!)。
ご本人がいらっしゃる日曜日に、ぜひ、ぜひ。
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2007年01月25日

review:第1回shiseido art egg 平野薫展《1/20》

第1回shiseido art egg 平野薫展
SHISEIDO GALLERY
東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビルB1F
1/12(金)〜2/4(日)月休
11:00〜19:00(日祝:〜18:00)
art egg2007DM.jpg




重力が邪魔だ、と感じました。


more...
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review:Adam Booth 2007《1/18、1/20》

Adam Booth 2007
@九美洞ギャラリー
東京都港区西麻布1-3-21-1F
1/17(水)〜1/27(土)日月火休
12:00〜19:00(最終日:〜17:00)
Adam Booth1/17DM.jpg

新しい感覚、斬新な表情。
昨年芸大の正木記念館で開催された芸大日本画研究室展での展示が素晴らしかったアダム・ブースさんの個展に行ってきました。

正木記念館では屏風の作品のみでしたが、今回は壁掛けのパネルの作品が展示されています。
画面に登場する鳥や象などをモチーフとしたキャラクター。その姿や表情がたいへんユニークです。
妖しげな雰囲気と、ユーモラスな感じとが同時に伝わってきて、さらに、連綿と続く日本画のスタイルを踏襲しながらも、たいへん未来的な風合いも醸し出され、一度拝見すると忘れられないキャッチーさがあります。

Adam Booth 1/13 02

九美洞ギャラリーははじめて伺ったのですが(ちょっと分かりづらい場所で探すのに難儀しました。汗)、コンパクトな空間で、しかし大きな作品も展示されていてそれらを至近で拝見できるのは嬉しいです。
紙本と絹本と、それぞれの大作が1点ずつ。

まず、入口をくぐると壁一面に広がる絹本の作品が目に飛び込んできます。
5枚組のパネルのそれぞれに花や動物などがひとつだけ描かれ、空間的にもゆったりと構成されているのも印象的です。 その空間的な余裕によって広がりが感じられ、それに伴ってイマジネーションも壮大に喚起されます。
また、均一に染め上げられた絹の褐色が照明によって仄かに浮かび上がり、なんとも幽玄な雰囲気が伝わってきます。

Adam Booth 1/13 01


紙本は、和紙の味わい深い質感を活かし、表面のざらつきに加えて敢えて斑のある褐色で塗られ、背景の色彩に独特な表情が浮かび上がっています。
そこに登場するキャラクターや植物がひとつひとつ丁寧に細やかに描き込まれていて、和の雰囲気と未来的な雰囲気とが混ざりあったなんとも不思議な世界が構築されてます。

Adam Booth 1/13 07 Adam Booth 1/13 09 Adam Booth 1/13 08

Adam Booth 1/13 06

小品では、アダムさんが描き出すキャラクターが引き立てられています。

象の表情、アダムさんの作品ではおなじみのキャラクターなのですが、なびかせる耳や目のかたち、それに直立という佇まい、それらからコミカルな感じと危ない感じとが同居していて、印象的です。
また、なんとも形容し難い姿の生物(まさにエイリアンって感じです)は、それだけでなんだか楽しく感じられます。

Adam Booth 1/13 03

Adam Booth 1/13 05


とにかく痛快です!
日本画というカテゴリーで、スタンダードさとオリジナリティを強く感じる作風はたいへんユニーク。
他にない味わいをこの距離で堪能できるのが嬉しいです。

Adam Booth 1/13 04
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2007年01月24日

review:αMプロジェクト2006 vol.6 生命の部屋VI・川崎広平展《1/20》

αMプロジェクト2006 vol.6 生命の部屋VI・川崎広平展
ASK? art space kimura
東京都中央区京橋3-6-5 木邑ビル2F
1/15(土)〜1/27(土)
11:30〜19:00(最終日:〜17:00)
川崎広平DM.jpg


完全に暗室となったギャラリー。
そこに、川崎広平さんの作品が5点、展示されています。


それぞれの作品が、ふわっと広がるような光を放っています。
今回の川崎さんの個展はDMを拝見して興味を持って伺ったのですが、そのDMの作品、予想よりも小さなサイズで、むしろしゃがんで眺めてしまうような感じです。

川崎広平展01 川崎広平展02

中は空洞になっていて、そこに水が注がれていて、内側には無数の水泡が現れています。
全体的にすっきりとした幾何学的なデザインに仕上がっていて、そのフォルムと光の広がり方から未来的な印象を受けるのですが、同時に不思議と有機的な感触もあります。
表面の凹凸によって部分的に光が屈折し、複雑な陰影を生み出していています。しかし、その光は作品全体から仄かに広がるような優しい感じで、それが全体の有機的な印象を生んでいるのかな、と思います。
この白い光からなんとなくあったかい感触が伝わってくるのが不思議です。

川崎広平展03


ギャラリーはおよそ中央部がパーテーションで仕切られていて、手前のスペースに上の作品に加えてパーテーションに設置された棚に2点、奥には台上の作品と床置きの作品とが1点ずつ展示されています。
光源がそれぞれの作品で異なり、ダイオードや蛍光灯が用いられていているとのことです。
ダイオードを用いた台上の作品の光源を川崎さんに見せていただいたのですが(てっきり固定するための器具だと思っていた部分が光源で驚きました)、作品の有機的な印象を邪魔しない究極的にシンプルなかたちに感嘆。

また、DMの作品と同様に内側の空洞部分には水が注ぎ込まれていて、非常に狭い範囲ながら作品によっては表面に水面が現れているものもあり、人の移動などによる僅かな空気の動きによって生じる水面の揺らめきが、光源を受けて美しい表情をつくり出しています。水泡と合わせてさらに有機的な印象を受けます。

光源のたの電源を得るための部分もたいへんユニークです。
壁から作品へと延びるスティック状のパーツは、まさに無駄なものを除いたようにも思われ、かつその長さがユーモラスに感じられます。

川崎広平展04

仄かな光がこの季節に合う、クールさとあったかさが伝わってくる素敵な展示です。


※調べたら昨年秋にギャラリー21+葉でも川崎さんの個展が開催されていました。こちらは完全に見逃していたので、そのときに気付かなかったことに反省しつつ、あらためて拝見できたことに感謝です。
また、αMプロジェクト2006では、昨年、一昨年と印象に残っている展示があって、毎年興味深いラインナップが並んでいます。
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2007年01月23日

review:ZOKEI展《1/21》

ZOKEI展
東京造形大学
東京都八王子市宇津貫町1556
1/20(土)〜1/21(日)
10:00〜17:00
ZOKEI展2006.jpg

東京造形大学の卒業・修了展示に行ってきました。
思い返すと昨年観たたくさんの展示の中で東京造形大学出身のアーティストのが印象に残ったことが多く、今回のZOKEI展も期待していたのですが...観に行って良かったです!
ここで思い出すアーティストの作品も予想より多く、みなさん頑張っているんだなぁ、とあらためて感嘆した限り。
加えてはじめて拝見する方々の作品で印象に残るもの、今後も続けて観ていきたいと強く意識させられるユニークなクリエイションに出会えたことも大きな収穫でした。


以下、特に印象に残った展示を。

・眞下由希さん
絵画棟の一室、ちいさなスペースの入口が暗幕で仕切られ、その中に入ると壁も同様に暗幕がかけられ、薄暗い部屋の中、スポットで照らされた縦長の作品とじっくり対峙できるような空間が提供されていました。
そこで展示されていた作品は、ていねいに描き込まれた実に精緻なペン画。たくさんのクライマックスがそっかしこに存在し、それが広い画面でダイナミックに構成されていて圧巻の静謐感。

大石晃裕さん
デザイン棟の一室、大きなスクリーン数枚が並び、そこにおそらく出力されたグラフィックが。その隙き間に配されたパソコンのモニターに映し出される動画CG。
ブラックをバックに、光のラインとドットが縦横無尽に走り、散らばり、意識が呑まれるような圧倒的な未来感覚のグラフィックアートが展開されていました。
動画では無機的な感触の細かいドットがノイジーに蠢いて、さまざまなかたちに変容していきます。こちらもじっと見入ってしまう面白さです。

・野澤裕子さん
デザイン棟の比較的広いスペース、暗室となったなかで展開されたインスタレーション。
針金で人や風景のシルエットのラインが作られ、それらが天井から吊るされ、そこに下方から当てられるスポットと天井から映し出される水面に広がる水の輪、それと共に耳に届く水の滴が落ちる音。針金はなんとも不思議な感じに彩られていたのですが、至近で見るとこれが細かい糸で編んだ布面が染め上げられていました。
まるで線画が立体的に提示されたかのようなドリーミーな空間が作り上げられていて、この浮遊感が気持ちいいです。そして、そのインスタレーションの中を縫うように移動していると、ホントにその世界に入ったかのような錯覚も。
ファイルも拝見して、平面の作品も面白かったです。

・麻生泰三さん
インクジェット出力による作品が壁一面に並びます。
それぞれの画面にある円形のなかには、揺らめく色彩が。そのなかで展開される細やかなリズムが面白いです。
左から右へと向かってだんだんと淡くなり、消えゆくように提示されていたのも、そこで時間のイメージが映像的に沸き上がってきて楽しめました。

・馬場都紀子さん
美術館で展示されていた、淡いリトグラフ。
グラスに挿された花、水道の蛇口、何気ないものに込められた記憶、想い出。
はっと消えゆくような儚さを感じる色彩感が心の中に広がって、なんだか懐かしい、優しい気分にさせられます。



既知のアーティストの作品では、アートギャラリー環での個展が印象的だった伊藤佑起さん、ヴァイスフェルトでのグループショーで拝見した宮本裕美さん、トーキョーワンダーウォールなどで拝見している奈良エナミさんの作品が拝見できて嬉しかったです。
(後でギャラリーエスのスタッフの方に伺ったのですが、エスでの二人展で拝見した田代裕基さんの木彫の大作があったそうで、それを見逃してしまったのが心残りです...)

今回いろいろと拝見して、今後どうなるんだろう、このクリエイションはどういう方向に発展していくんだろう、と期待を抱かせられるものが多かったのも印象的でした。
また個展などで出会えるのが楽しみです。
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2007年01月22日

1/20、1/21のアート巡り

《1/20》
第1回shiseido art egg 平野薫展
SHISEIDO GALLERY
東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビルB1F
1/12(金)〜2/4(日)月休
11:00〜19:00(日祝:〜18:00)
art egg2007DM.jpg


αMプロジェクト2006 vol.6 生命の部屋?・川崎広平展
ASK? art space kimura
東京都中央区京橋3-6-5 木邑ビル2F
1/15(土)〜1/27(土)
11:30〜19:00(最終日:〜17:00)
川崎広平DM.jpg


☆伊賀美和子 新作展「Madame Cucumber」
BASE GALLERY
東京都中央区日本橋茅場町1-1-6 小浦第一ビル1F
1/19(金)〜2/28(水)日祝休
11:00〜19:00
伊賀美和子1/19DM.jpg


☆"the days" いつもとちがういつも
Vision's
東京都中央区日本橋堀留町2-2-9 ASビル1F
1/15(月)〜1/20(土)
12:00〜19:00(最終日:〜17:00)
the days 1/15DM.jpg


・イエッペ・ハイン "Inbetween"
SCAI THE BATHHOUSE
東京都台東区谷中 6-1-23 柏湯跡
1/19(金)〜3/3(土)日月祝休
11:00〜19:00
イェッペ・ハインDM.jpg

アート@アグネスのSCAIのゲストルームを訪れた際、スタッフの方に「すごいのでぜひオープニングに!」とお知らせいただいたのですが金曜日は仕事が早めに終わせられなくて伺えず、土曜日に行ってきたのですが。
素で爆笑してしまいました。
あんなものをを作って展示してしまう人がどんな人なのかお会いしたかったですよいやホント(笑)。


Adam Booth 2007
@九美洞ギャラリー
東京都港区西麻布1-3-21-1F
1/17(水)〜1/27(土)日月火休
12:00〜19:00(最終日:〜17:00)
Adam Booth1/17DM.jpg


《1/21》
☆ZOKEI展
東京造形大学
東京都八王子市宇津貫町1556
1/20(土)〜1/21(日)
10:00〜17:00
ZOKEI展2006.jpg


☆コトバのある風景「ときたま」by土岐小百合/鈴木理策
ギャラリーエス S zone
東京都渋谷区神宮前5-46-13 ツインエルビル
1/9(火)〜1/28(日)月休
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)
ときたま1/9DM.jpg


・五十嵐公一 × 川本史織 「 表裏一体 」
ギャラリーエス E zone
東京都渋谷区神宮前5-46-13 ツインエルビル
1/19(金)〜1/28(日)月休
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)
表裏一体1/19DM.jpg

五十嵐公一さんの、ゆったりとたゆたうように時間が流れるモノクロームの風景写真。
そして、それとは対照的に、川本史織さんの写真はある一瞬を透明感溢れる色彩でキャッチしたようなフレッシュさが気持ちいいです。
このふたりの写真のコントラストも、見事です。


・Awesomeレジデンス帰国報告 長岡大輔
TWS本郷
東京都文京区本郷2-4-16
1/8(月)〜1/21(日)
14:30〜18:30

以前、TAKEFLOORでのグループ展で作品を拝見したことがある長岡大輔さん。
残念ながらトークイベントはいちばん最後のほうだけを聞くことしかできなかったのが今振り返れば残念。。。
壁一面に、おそらく木炭で描かれたモノクロームの絵。1本の木と、その下には人がいっぱい描かれ、何故か人は描いた後から画面を擦ったような感じで輪郭がほぼ失われています。
また、作業デスクがひとつ置かれ、その上には描きかけの絵。
圧巻なのは、映像作品で、物凄くアナログなアニメーション...というか、むしろ記録映像で、白い紙にひたすら人物を描いては、それを消してその人物の次のアクションを描いていく、その1枚の紙の上で起き続けるドキュメントを高速で上映する作品。絵の中の人物による物語と、長岡さんの手の動き。このふたつの時間がひとつの画面で同時に提示されて、相当スリリングな映像に仕上がっています。
ただ、こちらも充分チェックできず。。。次の機会は絶対に逃さないようにしないと!


SSamzie Spaceレジデンス帰国報告 大巻伸嗣
TWS本郷
東京都文京区本郷2-4-16
1/21(日)
16:30〜18:30

韓国のレジデンススペース、SSamzie Spaceに昨年秋から3ヶ月滞在した際のエピソードを中心に催された大巻伸嗣さんのトークイベント。
ホントに面白かったです。
まさに、大巻さんご自身が肌で感じた韓国のアート事情、そしてさまざまな文化的な違いがいろいろ伺えて、1時間半ほどのトークがあっという間に。
そして、そういった話を聞いて、いろいろと考えることもあって。
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2007年01月21日

review:“A LDK”The Vehicle Exhibition《1/18》

“A LDK”The Vehicle Exhibition
リビングデザインギャラリー 東京都新宿区西新宿3-7-1 新宿パークタワー リビングデザインセンターOZONE 6F
1/18(木)〜1/30(火)水休
10:30〜19:00
The Vehicle OZONE DM.jpg


The Vehicleによる、「アート(A)」を「生活空間(LDK)」へいかに取り込むか、の提案。
ユニークな企画です。
場所もまさに、リビングデザインギャラリー。

これまでThe Vehicleの展示や過去作品のファイルから、レトロっぽいイメージを持っていたのですが、今回の展示では少し先の未来といった洗練された雰囲気です。

大きなタペストリーが空間を仕切り、それぞれが「Bed Room」「Living Room」「Bath Room」などになっています。
そして各所で実際の生活空間を演出するための家具と合わせてアートの作品が展示されています。さらに、その作品の一部はYUMIKO CHIBA ASSOCIATESの所属アーティストとのコラボレーションとなっていて、ある種ショーケース的な展示にもなっています。

まず、間接照明が正面に。

A LDK 01 A LDK 02


ベッドルーム。
枕元に設置された間接照明がThe Vehicleの作品。加えてベッドの上に鷹野隆大さんの写真がプリントされています。写真だと激しいインパクトを受けてしまう鷹野さんのクリエイションが布地にプリントされることで若干抑えられているような感じです。

A LDK 06

A LDK 05


ダイニングルームのコーナーでは、食卓のテーブルの上に東恩納裕一さんの例の蛍光灯を組み合わせるクリエイションが天井から吊るされてそこの照明となっています。
陳腐ですが、なんだかUFOみたいです。
そこから伸びる電源確保のためのコードの生々しさもインパクト大です。
タペストリー越しに見える照明のなかなか味わいがあります。

A LDK 04 A LDK 12

A LDK 03

リビングルームには横長のソファがひとつ、側に一本脚の丸いテーブルがひとつ。その上に緑の人工芝が敷かれ、ちいさな家のかたちをした照明が灯っています。
この照明が三田村光土里さんとのコラボレーション。人が入れるくらいの大きさのインスタレーションが基になっているそうなのですが、今回はこの企画に合わせてそれをテーブルサイズに小さくしたとのこと。
灯る灯りに親子の姿のシルエットが映し出され、なんとなく懐かしい雰囲気、レイドバックした小説を読んでいるときのような、そういう感触を喚起してくれます。

A LDK 10

これらの他にも、The Vicheleのユニークなクリエイションが各所に。
椅子の背もたれをそのままハンガーにしたものや、字幕がプリントされた鏡、窓を模した間接照明...。
それぞれユーモアが感じられるアート作品となっています。

A LDK 08 A LDK 09 A LDK 11

A LDK 07

アーティストの作品をそのまま展示するのではなく、そのクリエイションの本質の部分をちゃんとフォローした上で織り込むユニークさが興味深いです。
自分だったらどうするかを考えたり、それぞれのコーナーをもっとリアルにイメージしてみたりするのも楽しいです。

展示スペースの外側には、The Vehicleによる「しらかば」シリーズが展示されていて、こちらはレトロ感覚たっぷりなものになっています。
i-Podやデジタルカメラなどを収納できるケースとなっていて面白いです。


このビルに入っている家具のショップと合わせて観るともっと楽しめるかも知れないです。
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2007年01月20日

review:花鳥風月 〜コンテンポラリーアート〜 《1/13》

花鳥風月 〜コンテンポラリーアート〜
SAN-AI GALLERY
東京都中央区日本橋蛎殻町1-26-8 三愛水天宮ビル1F

1/9(火)〜1/18(木)
11:30〜19:00(日:〜18:00)
花鳥風月 DM.jpg


SAN-AI GALLERYの貴ュレーションによる、さまざまな手法で制作された作品を、「花鳥風月」それぞれひとりずつピックアップしてパッケージしたグループ展。

まず、「花」。
昨年のGallery b.Tokyoでの個展などで拝見し、その鮮烈すぎる鮮やかさが印象に残っている工藤雅敏さんの作品が、通り沿いのショーウィンドーからギャラリーの各所に配置され、ポジティブな色彩が力強く咲き乱れます。

花鳥風月 工藤雅敏01

大作と小品とが合わせて展示されていたのですが、小品は赤と白とが混ざりあい、その光を放つかのような明るさが黒の背景に映えています。

花鳥風月 工藤雅敏04 花鳥風月 工藤雅敏05

花鳥風月 工藤雅敏03

大作では、さまざまな色が画面上で強烈なコントラストを生み出し、尋常でない世界を作り上げています。
絵の具による存在感たっぷりの立体感、スプレーを使用して施された色の広がりからイメージされるスピード感、複雑な細かい線の絡まりによるミニマルな面白さ。
ひとつの画面にさまざまなクライマックスが収められていて圧倒されます。

花鳥風月 工藤雅敏07 花鳥風月 工藤雅敏08 花鳥風月 工藤雅敏09

花鳥風月 工藤雅敏06

工藤さんの作品を目にすると、なんだかエネルギーを補給できたような気分になるほどです。

花鳥風月 工藤雅敏02



「鳥」は長谷川恵理さんの出力の作品で。
実に細やかなデザインと慎重に選び抜かれた色調によって、羽のひとつひとつまでもがていねいに再現されています。

花鳥風月 長谷川恵理02

花鳥風月 長谷川恵理01


「風」は宮野雅美さんのタブロー。
いくつかのサイズの作品が並ぶ中、大きな画面でその広さのぶんだけダイナミックに感じられます。

花鳥風月 宮野雅美01


一度同ギャラリーでの個展で拝見して印象に残っていた大西明子さんが「月」。
工藤さんの「花」とは対照的に、実に渋い作品が並びます。

花鳥風月 大西明子02

銅版に描かれる絵。
銅の渋い金属的な輝きによって、夜の風景が月明かりに照らされる様子が味わい深く表現されています。
さらに、木立の枝につく葉がまるでさわさわと風に揺れるような、あるいはしんと静まる闇夜に響くちいさな音、そういった臨場感が、それぞれの画面からも伝わってきます。

ちいさな額に収められ、棚に置かれた作品も素敵です。

花鳥風月 大西明子03 花鳥風月 大西明子04

ひとつひとつがていねいに制作されていて、じっくりと画面に近付いて見入ってしまうほど。
夜に観たらもっと雰囲気が出るのかも、とイメージも広がります。

花鳥風月 大西明子01


これほどバリエーションに富んだスタイルの作品が、ひとつのユニークなテーマでまとめられて、大変興味深く拝見することができました。
またそれぞれのアーティストの個展も観てみたいです。
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2007年01月19日

review:東悠紀恵展《1/13》

東悠紀恵展
ぎゃらりぃ朋
東京都中央区銀座1-5-1 第3太陽ビル2F
1/13(土)〜1/20(土)
11:00〜19:00
東 悠紀枝DM.jpg


静かに、しっとりと落ち着いたファンタジー。

もう一昨年になりますが、偶然拝見した個展が印象に残って、それ以来折りに触れて拝見している東悠紀恵さん。
東さんの個展がぎゃらりぃ朋で開催されると伺ったときは、その取り合わせの良さに至極納得し、今回の個展もずいぶん前から楽しみにしていたのですが、実際に拝見して、期待以上に期待通りのすてきな展覧会となっていて嬉しい限りです。

東悠紀恵 朋03

東さんは発泡スチロールのボードを使用した立体の作品も作られるのですが、今回は、タブローのみの展示です。
憂いを帯びた表情の人物がモチーフとなった作品が並びます。なんとなく中世のヨーロッパを思わせる風合いが、それぞれの画面から緩やかに広がってきて、ぎゃらりぃ朋の空間に響き渡っています。

東悠紀恵 朋01 東悠紀恵 朋02

いわゆるシュールな構成なのですが、この種の作品によく感じられる「おどろおどろしさ」がまったくなく、ロマンチックな感触、大人の童話の一場面のようななんとも言えない渋さが伝わってきます。
全体的にセピア調の色合いも、それぞれの作品から浮かぶイマジネーションをふわりと優しく押し広げてくれるように感じられます。

東悠紀恵 朋06 東悠紀恵 朋05

そういった作品の中に収められたアイテムも、実に丁寧にひとつひとつ描き込まれています。
各所に登場する百合の花の可憐な佇まい、人物が身に纏う衣服に施された装飾の細やかさ。
それらがひとつの画面で静かに共鳴しあい、不思議な物語を紡いでいく...そんな感じがするんです。

もしかしたら、観た人の数だけ、東さんの作品からちいさな童話が生まれているのかもしれない...そういうふうに考えるとまた、なんだか嬉しくなってきます。
言葉が添えられた展示、あるいは絵本のようなかたちでも観てみたいような気がします。

東悠紀恵 朋04
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2007年01月18日

review:「NATURAL DRIFT ナチュラル・ドリフト」《1/13》

「NATURAL DRIFT ナチュラル・ドリフト」
Takuro Someya Contemporary Art
千葉県柏市若葉町3-3 TSCA KASHIWA
1/13(土)〜2/11(日)木金土日のみ、アポイントメント制
TSCA1/13DM.jpg


今年最初のTSCAは、所属アーティストをピックアップしたグループショー。
アポイントメントオンリーの展覧会ながら、クレジットされたアーティストの名前を一目見て

「こここここれは観に行かなければッッ!!」

と瞬時に思い立ち、初日に伺ってきた次第。


まずは、飯田竜太さん。
(g)での個展で発表された、文庫本を徹底的にカットした作品が、壁に設置された棚に置かれた(g)のときとは違って広い壁一面にずらりと並べて展示されています。その光景はまさに圧巻。
カットされたページが等高線のように重なって独特の味わいを醸し出し、文庫本に印刷された無数の文字が本来の意味や音声を失って摩訶不思議な紋様となって現れます。
これらが壁一面に並んで、紙の茶色と文字の黒、それらと壁の白とのコントラストが妙に奥深く、深遠な雰囲気となっています。

NATURAL DRIFT飯田竜太02 NATURAL DRIFT飯田竜太03

NATURAL DRIFT飯田竜太01


その向かいには大塚聡さんの作品が。
昨年の個展のときと同じように、パネルが2面並んで展示されています。
鏡面状のパネルの奥へと飛ぶ光。画面のさまざまな場所にランダムにふっと浮かび上がっては、向こう側の「虚」の世界へと消えゆく様子は、対面する飯田さんの作品とはまた違った孤高の静謐感が漂います。
しかも今回は、その飯田さんの作品が展示された壁がパネル表面に映り込みます。
テクノロジカルな大塚さんの作品の中に、アナログの極地のような飯田さんの作品が収まっているかのようで、そのギャップがある意味痛快に思え、それをこうやって可能にしてしまったTSCAのユニークさがこういうところにも表出しているように感じられます。

NATURAL DRIFT大塚聡02 NATURAL DRIFT大塚聡03

NATURAL DRIFT大塚聡01


続くスペースは、タムラサトルさんの展示コーナー。
昨年のGallery Qでの個展などでも発表された、接触部分の火花に興奮を覚える作品に再会。
この作品に用いられている「部品」の生々しさ、必要最小限のシンプルなかたちがむしろかっこよく感じられ、それがさらにこの火花を際立たせています。

NATURAL DRIFTタムラサトル04 NATURAL DRIFTタムラサトル03

そして今回は、動物がモチーフとなった金属性のオブジェもあわせて展示され貞ます。
こちらはそれぞれの動物が緻密に作り上げられていて、その丁寧な仕事ぶりに感心してしまいます。金属そのものの質感がそのままであるにもかかわらず、動物の生命感が感じられます。
火花の作品とのギャップもたいへん興味深いです。

NATURAL DRIFTタムラサトル02

NATURAL DRIFTタムラサトル01

タムラさんの作品はもうひとつ、映像も上映されています。
これが・・・・・素晴らしいっ(笑)!
聞くところによるとフランス人VIPがそのあまりのシュールさに感動の涙を流した(笑)とのこと。
淡々と、黙々と繰り広げられる自動販売機前の光景。何故か見入ってしまう、尋常でないほどの痛快さです。


今回はじめて拝見する松山智一さんの作品が、タムラさんのコーナーに続いて展開されています。
マスキングを駆使した、グラフィカルなタブローです。
この質感、風合いは独特です。アートシーンというより、もっと広い意味でのカルチャーシーンから大きなインスピレーションや経験を得ているように思えます。
海外を拠点とされている方とのことで、そういった影響も感じられます。そしてそれと同時に、たいへん日本的というか、連綿と伝わる花鳥画的なアプローチも感じられ、たいへん興味深いです。
このグループショーに続いて開催される松山さんの個展が今から楽しみです。

NATURAL DRIFT松山智一02

NATURAL DRIFT松山智一01


最後のスペースには、本城直季さんの大判の写真が2点展示されています。
雪景色と、新緑が鮮やかな季節の光景。
本城さんおなじみの、実際の光景をミニチュア風に撮った作品で、画面的にも空間的にも、この広さで見ることができるのは本当に嬉しいです。
雪を積もらせた街並のビルディングのひとつひとつ、草原を通る道路を走る車、それらがなんともかわいく感じられ、眺めているだけでうきうきと心が高揚してきます。

NATURAL DRIFT本城直季01

NATURAL DRIFT本城直季02


最後に飯田竜太さんの作品がもう1点。
こちらも(g)での個展で発表された作品。台の上に並べられた分厚いハードカバーの本と、蓋が閉じられた瓶。
いっしょに置いてある白手袋をはめてこの本のページを開くと、この作品のクレイジーさが物凄い迫力で伝わってきます。そのエネルギーに後ずさりしてしまいそうなほど。
本の中の文字の羅列が1ページ1ページ緻密に切り抜かれ、その破片が瓶の中に詰め込まれています。
その作業量を思い浮かべると、背筋に緊張が走ります。

NATURAL DRIFT飯田竜太04

NATURAL DRIFT飯田竜太05


絵画、写真、立体といったスタンダードなスタイルに加え、もっと別の視点からの面白さが凝縮されているものまで、さまざまなアートが詰め込まれたバラエティに富んだグループショーです。
TSCAへのメールでのアポイントメントが必要ですが、ぜひ観に行ってほしい展覧会です。

*********

余談。
TSCAへ行く度に気になっていた、TSCAのすぐ側にあるカレー屋さんにも行ってきました。
「世界で一番熱いカレー屋」、Taro Curry
野菜のカレーを食べたのですが、ココナツが効いていて美味しかったです。
posted by makuuchi at 09:19| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月17日

recommend:2006おぶせミュージアム「作家の卵展」巡回 ShinPA 〜中島千波と東京藝術大学デザイン科描画系作品展〜

2006おぶせミュージアム「作家の卵展」巡回 ShinPA 〜中島千波と東京藝術大学デザイン科描画系作品展〜
佐藤美術館
東京都新宿区大京町31-10
前期:1/17(水)〜2/4(日)後期:2/7(水)〜2/25(日)月休
10:00〜17:00(金:〜19:00)
入場料:一般\500 学生\300
ShinPA.jpg

昨年初めに長野県おぶせミュージアムで開催された「作家の卵」展が佐藤美術館で巡回開催されます。
展覧会終了以降もそれぞれ個展などで作品を拝見する機会があり、こちらのブログでもその都度紹介しているのですがですが、今回あらためて一堂に拝見できるのが楽しみです。

《前期》
阿部穣 泉東臣 井上越道 岡部忍 川本淑子
小林英且 芹田紀恵 高岡香苗 高橋浩規  田宮話子
濱岡朝子 日根野裕美 松永龍太郎 森田洋美 中島千波

《後期》
井上恵子 浦和志津香 岡本雄司 金丸悠児 金木正子
三枝淳 瀧下和之 冨田典姫 永井夏夕 名古屋剛志
野地美樹子 山本陽光 渡邊史  中島千波

※この「作家の卵」展のパンフレットをプレゼントします。
ご希望の方は左サイドバーのプロフィール欄にあるアドレスまで、タイトルに「作家の卵」展パンフレット希望と御明記のうえ、 メールをお送りください。追って返信致します。
先着10名様までとさせていただきます。
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