2006年12月31日

2006年の振り返りと...

年も押し迫ったある日、仕事で行った先のスタッフの方に一言尋ねられました。

「今年もおせち作るんですか?w」


・・・その時点ですっかり忘れてた(汗)

というわけで、2006年最後の日、今年一年を振り返る前におせち作ってました。
といっても5品ですけど。

ただ、例年に比べて拍子抜けするくらいあっさりと作り上げてしまいまして...ネタになるかどうか(汗)

今年も昨年と同様、つくった品目は以下の5品。

《黒豆》
・毎年作るには作るのですが、どうにもあのふわっとしたやわらかさが再現できずどうしたものか、と思案した挙げ句、今年は炊飯器で炊いてみることにした(・∀・)
・黒豆を炊飯器の中で水に浸し、そこに砂糖と醤油を加えてスイッチオン
・結果、芯が残った状態orz
・どうせならとばかりに、2度炊き敢行
・やっぱり変化なしorz
ま、まあ、あの歯ごたえっていうか触感も嫌いじゃないっていうか食べられなくはないのでOK。

《田作り》
・これだけ今年はなぜかリハ敢行
・クリスマスが明けた頃に行き付けのスーパー(といっても3軒ある)の乾物コーナーで煮干し物色
・田作り用カタクチイワシもあったのですが
・ちょっとリッパな大きさの煮干しのほうがグラムと値段との関係でいったら安---(゜∀゜)---い!
・帰宅後、さっそくそれで田作り製作開始
・しかしさすがに1年ぶりとあって作り方の手順を間違える
・なぜかいきなり巨大煮干しをから炒り
・そこに砂糖と醤油を直接加える
・炒られて水分がさらに飛んだ煮干しが抜群の吸収力で醤油の水分を取り込む
・行き場のなくなった砂糖、これさえも煮干しが吸収
・当たり前のように飴状に仕上がらずorz
・なのにそこにゴマ投入
・できあがったのは、出来損ないと呼ぶのもはばかられるシロモノorz
・しかも、味がorz
・しっかり醤油と砂糖と煮干しとゴマの味が別々にして、混ざりあってないorz
結局本番には小さめの煮干しを買ってきて使いました。

《紅白なます》
・忘れてた(汗)
・しかーし!
・買い置きの大根と人参あった---(゜∀゜)---!
・しかーし!
柚がな---(T∀T)---い!
・しょうがないのでお酢を代用
・千切りにした大根と人参をお酢と砂糖で和えてできあがり
・でいいのだろうか(汗)
まあ、見た目は紅白だし。

《昆布巻き・煮物》
・昆布巻きに使ったのは鮭と、いつもなら鰯も巻くのですが昨日行ったスーパーになくて断念、その代わりにたまたま既製品の昆布巻きにたらこがあって、たらこも比較的安く売ってたのでたらこも巻くことに
・水で戻した昆布を鮭の切り身、たらこに巻いてかんぴょうで縛ってとめるだけ
・簡単
・そして、昆布をもどした出し汁に醤油とみりんを加えて、昆布巻きにこんにゃく、大根、人参、ごぼう、れんこんをいっしょに煮る
けっこう美味しく出来てます。たらこは味見してないのでどんな感じになっているか期待半分不安半分。

《栗きんとん》
・今年のおせちに時間がかからなかったのは、生の栗を使わずに出来合いの栗の甘露煮を使ったから
楽!(・∀・)
・しかし、ほぼ1本分のさつまいもを蒸かして漉す作業がけっこう大変で
手がつるかと思った(汗)
・無事漉し終わって、鍋に移して甘露煮をスープごと入れて過熱、できあがり
既製品の甘露煮を使った割には甘過ぎず、いい感じです。

以上、おせち完成の顛末をおおざっぱに。
お蕎麦も食べたし、あとは明日、雑煮を作るだけです。


・・・で、今年の振り返りなわけですが...。
今年もたくさんの展覧会に足を運び、それとほぼ同じ数のアーティストに出会えて、アート巡りは今まで以上に充実していました。
今年の5月からはじめたこのブログを見返してみて、記事にしたそれぞれの展覧会に少なからず思い入れがあるし、あらためていろいろと思い出すことも。で、順位はつけませんが、特に印象に残っているものを。

まず、2006年を振り返ってみて思い浮かぶのは、なんといっても「君は池田学を観たか?」ということ。

池田学展「景色」
ミヅマ・アクション
9/13〜10/14
池田学DM.jpg
ミヅマ・アクション
(記事はこちらこちらです)

あの圧倒的な情報量、そしてそのバラエティの豊かさ。
都合3度足を運んで、相当長い時間をかけて拝見したにも関わらず、まだまだ観足りない、もっともっとたくさんの発見を提供してくれるのでは、と。
1年半という尋常でない時間をかけて制作されたということにも納得の、まさに圧巻のエンターテイメントでした。


時間をかけて制作された作品が満を持して発表されたといえば、岡本雄司さんの四ッ谷駅断面図の全貌も忘れ難い展示です。

岡本雄司展|四ッ谷駅
galleria grafica bis
12/4〜12/9
岡本雄司DM.jpg
(記事はこちらです)

この作品の一部分がお披露目されたのが昨年の12月でした。それから1年たって、四ッ谷駅の端から端までがユーモラスな表情をたたえた木版画で再現され、とにかくこちらも圧巻!そしてなにより楽しい!
こちらの作品はその後日本橋タカシマヤで再登場。そして、もしかしたらしかるべき場所での展示も実現するとかしないとか...。
僕ももっとこの断面図を観たいですが、それ以上にこの作品を観て目を輝かせる人々の嬉しそうな表情を観たいです。


新しい個性との遭遇でいえば、斉藤邦彦さんのヴァイスフェルトでのソロデビューが真っ先に思い浮かびます。

斉藤邦彦個展「現像中」
ヴァイスフェルト
11/2〜11/24
斉藤邦彦DM
(記事はこちらです)

まったくユニークな手法で生み出される究極的にミニマムな世界。
観る度に知らない世界に誘ってくれる奥深さ。斉藤さんの作品が持つポテンシャルはまさに天井知らず。
時間的にも量的にももっと観たいアーティストです。


強烈なインパクトを持ち合わせた空間もいろいろ体験しました。
まずは、内海聖史さんの、水戸アートワークスギャラリーでの個展。

INTRODUCTION PROJECT-10 内海聖史展
ART WORKS GALLERY
4/25〜5/7
(記事はこちら、その際に伺ったインタビューはこちらです)

このアーティストがそこでやるんだったらそこまで行かなきゃ、と思わせてくれる数少ないアーティスト、内海聖史さん。これも水戸まで見に行った甲斐がホントにありました。
何せ、予想もしなかったかたちの展示...床置きにされたパネルに広がる青いドット。空間と合わせてでないと味わえない...。
内海さんは、この他にもAランチに出展されたユニークな作品や、ふなばしでの展示、a href="http://ex-chamber.seesaa.net/article/23626192.html" target="_blank">ヴァイスフェルトでの個展も忘れ難いです。


空間といえば、大巻伸嗣さんの展示もすごかった!

Shinji Ohmaki:Liminal Air - Descend 2006
Gallery A4
6/21〜8/11
大巻伸嗣DM.jpg takenaka_plan.jpg
(記事はこちらです)

実際に体験して、そして体験している人の様子を眺めて、なんとも不思議な思いにさせてくれる空間。
この貴重な体験ができる空間ができあがるまでのエピソードや、この展示の会期終了翌日に伺って解体されている様子も拝見させていただいたりして、そういった意味でも想い出深いです。


そしてもうひとつ、雨宮庸介さんの展覧会も忘れ難い。

雨宮庸介個展「トランスレーターズ・ハイ」
Yuka Sasahara Gallery
9/9〜10/14
雨宮庸介パンフ.jpg
(記事はこちらです)

改めて思い返すと、この世界に自然に入り込めるようにいろんな仕掛けが施されていたんだなぁ、と。
あの巨大なカエルは今どうしてるかな、とたまに思い出すことがあります。


楽しかったのは、なんといっても束芋さんの原美術館での大規模な個展と、そのときに開催されたワークショップ。

「ヨロヨロン」束芋
原美術館
6/3〜8/27
束芋DM.jpg
(記事はこちら、ワークショップの感想はこちらです)

展示は原美術館の尋常でない本気度が伺える、圧倒的なものでした。
それぞれの展示室で展開されている映像インスタレーションのシュールな世界が空間全体で堪能できました。
そして、ワークショップ。気付いたら予定終了時間を大幅にオーバーしてしまったほど。
製作中はぜったいに動かないような気がしていた僕が描いた絵がちゃんと動いているように見えたときの嬉しさといったら...!


再び平面に戻ると、長谷川冬香さんの個展も深く印象に残っています。

長谷川冬香 - エスカルゴ -
Vision's
10/3〜10/14
長谷川冬香DM.jpg
(記事はこちらこちらです)

2度見に行って、2度目の感動が尋常じゃなかったです。
はじめて拝見したときに気付けなかった雰囲気が、2度目のときに自分でも驚くほどに妖艶に迫ってきたように感じられたのが大変新鮮でした。


以前から個展で拝見したいと思っていた今村綾さんの個展も素晴らしかったです。

今村綾展
Oギャラリー
9/25〜10/1
今村綾DM.jpg
(記事はこちらです)

待っていた個展だったこともあって、しかもそれが期待通りに期待以上の内容で。
ホントに嬉しかったです。


・・・他にも印象に残っている展示がいっぱいあるのですが、きりがないのでこの辺で。
たくさんの感謝と共に。
posted by makuuchi at 22:25| Comment(2) | TrackBack(1) | note | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

review:― 岡倉天心に捧げるオマージュ ― 第3回 理想の会《12/21、12/24》

― 岡倉天心に捧げるオマージュ ― 第3回 理想の会
渋谷・東急本店 8階 美術画廊
東京都渋谷区道玄坂2-24-1
12/21(木)〜12/27(水)
11:00〜20:00(最終日:〜17:00)
理想の会2006 DM.jpg

昨年もちょうどこの時期に開催された展覧会。
加來万周さんの作品が拝見できるのが楽しみで、今回も期待に胸を膨らませて足を運んだ次第。

加來さんの作品の前に立つと、自然と気が引き締まります。
絵の中にあらわれるものは樹木や野の草、そして空、月といった特別なものはいっさいないのですが、そういった親しみのあるものが加來さんの手で画面に再現されると、それらが持つ美しさが箔や泥の輝きや岩絵の具の色の鮮やかさ、膠を用いたグラデーションをもって最大限に引き出されます。

神々しいんです。


今回出展された作品は3点。
そのどれもがシンプルな色使いで描ききられていて、膠による画面の僅かな盛り上げなどがもたらす陰影とともに、それぞれの作品に深みや奥行きを生み出しています。


いちばん大きな作品は、画廊入口から向かって正面に展示されていました。
少なくとも僕にとって、これまでの加來さんの色彩的なイメージからは想像していなかった淡い群青が画面にひろがっています。
中央には枝に葉をいっぱいにつけた樹木がひとり、明け方を思わせる淡い青の空に浮かぶシルエットが神々しさをたたえながら静かに佇んでいます。
下方には、冷たい空気に触れてぴんと鋭さを増したような姿の野草が居並びます。葉の直線が画面に浮かび上がり、その美しさが際立ちます。
そして、空。
白く浮かぶ上弦の月、そのまわりには細かく銀箔の破片が散らばります。箔の輝きは、星というより、大気に浮かぶ美しい塵といった感じです。
この作品、タイトルと拝見したら「朝霧」とありました。
朝・・・何かが「始まる」という能動的な印象よりもむしろ、何かが「生まれる」といった、さらにスケールが大きな世界です。


他の2点はウィンドウ越しに展示されていました。

薄い青に金の「小春日和」。
どこまでも続くような遠い奥行きをもたらす青と、そこに浮かぶ月のやわらかさに見愡れます。

「春香」は、他2点の風景画の雄大なイメージから一転して、綿毛をつけた蒲公英を描いた作品。
綿毛の毛先のひとつひとつの繊細さ。
銀と濃紺とで生み出される背景のコントラスト。
意図的に毛羽立てられた画面、紙の繊維が立ち上がって現れる、実に細やかな陰影。
それらが一体となって画面に展開され、描かれるモチーフとは裏腹に、宇宙へと思いを馳せるほどに広大なイメージが感じられます。


加來さんの作品を拝見する度に、作品への真摯さが強く伝わってきます。
「美しいものを美しいと思う心」...この自然な感覚だけもって対峙するだけでこれだけ深い高揚感に満たされるのは本当に嬉しいです
posted by makuuchi at 14:41| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

review:第7回 渓展(日本画)《12/23》

第7回 渓展(日本画)
@ギャラリー渓
東京都新宿区歌舞伎町1-6-3 石塚ビル9F
12/18(月)〜12/23(土)
11:00〜18:30(初日:13:00〜、最終日:〜16:00)
渓12/18.jpg

日本画のアーティストの6人展です。
既知、未知それぞれ3名ずつという、いろんな意味で楽しみだった展覧会。
ギャラリー渓ではこの企画が定期的に開催されています。

まず、春以来、ちょっと久々に拝見することができた大浦雅臣さん。
ユーモラスなかわいさが詰まった作品と、今後の展開が大変楽しみなダイナミックな作品など、割り当てられた小さなスペースでバリエーションに富んだ内容でした。

まず、3点組で、4コマならぬ3コママンガみたいな連作風の作品。
和紙の画面の中央に洗濯機と絡む男子。
「なんかもー」的なツッコミも入れながら、なんとも愉快な気分に。

渓展 大浦雅臣03 渓展 大浦雅臣04 渓展 大浦雅臣05

渓展 大浦雅臣02

そして、大浦さんらしい作品。
岩絵の具を用いてこれだけ金属的、機械的な世界が展開されるというのに目を奪われます。
グレーの色面の重なりが冷たくて熱い、アングラな感覚を発散しています。よく見ると竜の爪のようなものが描かれていて、実はこの作品は相当に大きな画面構成で展開されるコンセプトの一部分とのこと。
実現したら驚くほどにダイナミックな竜が現れるようで、ぜひどこかで拝見できる機会が得られたら、と切に切に。。。

渓展 大浦雅臣01


ギャラリー52での個展も印象に残っている小田恵理子さん。
こちらも小田さんらしい、一昔前の雰囲気と未来的な先鋭さとが絶妙に混ざりあって同時に迫ってくる、ユニークさがうまく発揮された作品です。
人物が画面いっぱいに描かれているとやはりまずその姿や表情に目が行き、この女の子のキッチュさ、おてんばさに圧倒されつつ、続いて着物の柄に目をやると実に繊細な模様が丁寧に、ひとつひとつの色がくっきりと描かれていて、明るいきれいさが際立って再現されています。

渓展 小田恵理子04 渓展 小田恵理子03

渓展 小田恵理子02

おなじみの「手」も登場。
小さな画面に詰め込まれたエネルギー、物凄い引力のようなものを感じます。

渓展 小田恵理子01


ギャラリー山口やフタバ画廊での個展やグループ展などで拝見してきた加藤怜子さん。
華奢で可憐な表情で魅せる手が並ぶ、フタバ画廊でも拝見した展開。こういったグループ展になると、その個性がまた違った味わいで魅せてくれます。

渓展 加藤怜子01

そして、おそらく新作での展開が面白いです!
明るい白を背景に、ある部屋の光景が浮遊感たっぷりに表現されています。
背景の白とのコントラストが面白いドットの広がり、緑の扉や赤の壁の色の高揚感。
画面の下のほうに連なる手のひらも、いつもと違った幽玄さを醸し出しているように思えます。
この展開、もっといろいろ拝見したいです。

渓展 加藤怜子02

今回はじめて拝見した中でもっとも印象に残ったのが佐々木益さん。
滲む色彩と、粗めの岩絵の具の粒子の物質感とのギャップが作品に描かれる風景に不思議な距離感をもたらしています。

渓展 佐々木益02

そしてこちらの作品、闇のなかの水たまりに雨粒が落ちて広がる水の輪が神々しく再現されています。
使われる色の数のシンプルさもかっこいいです。

渓展 佐々木益01


新倉佳奈子さんは、夜を思わせる黒い背景の深さが印象的です。
そこに舞うように織り込まれる箔は、闇の微睡み、幻想を思わせます。

渓展 新倉佳奈子02

渓展 新倉佳奈子01


小松ゆかさんは花の可憐さが際立って感じられました。
花弁のやわらかな質感が丁寧な描写で表現されています。

渓展 小松ゆか01

渓展 小松ゆか02
posted by makuuchi at 13:57| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

review:深澤寛次 展「リングワンデルンク」《12/23》

深澤寛次 展「リングワンデルンク」
GALLERY b.TOKYO
東京都中央区京橋3-5-4 第一吉井ビルB1F
12/18(月)〜12/23(土)
11:00〜19:00(金:〜21:00、最終日:〜17:00)
深澤寛次DM.jpg


深澤寛次06

モノクローム。
陰影すらない、黒と白の世界。

フラットな画面に展開される女性の振る舞いや仕草は、このシャープな色調の中でより妖しく、危なく感じられます。
黒は黒く、白は白く広がり、黒の線は触ると切れるような鋭さを持ち合わせています。
特に家具などが描かれたときのその木目の繊細さ、なびく女性の頭髪が描き出す流麗な曲線などに見受けられる細い線は、その1本1本から尋常でない存在感、強さが伝わってきます。

深澤寛次04 深澤寛次07

深澤寛次08

それぞれの絵に何らかの物語が詰まっているように感じられます。それも、まるで小説を文字で読んでいるときに似たプロセスで、頭の中に映像が展開していくような感じがして不思議です。
女性とともに描き込まれるモチーフ、ベッド、鏡などがその物語の重要なアイテムに思えてきて、それぞれが何らか語りかけてくるように思えます。
部屋の中であったり沼地であったり、記憶のどこかに収まっているようで分からない...その場所がどこなのか、というのもいろいろとイメージが広がっていきます。また、いつなのか...。
そしてなにより、この黒と白から浮かび上がってくる、憂いを帯びた女性の表情に魅せられます。

深澤寛次01 深澤寛次03

深澤寛次02

壁に設置された小さな棚の上に置かれたキューブも面白いです。
そのかたちを活かし、純白のテーブルクロスがかかっているように仕立てられていたり。

深澤寛次09

深澤寛次10


黒と白の繊細でありつつも力強い色彩感、パネルの立体感、そして登場する女性の表情。
それぞれが一体となって迫り、イマジネーションを深く刺激されたような感じです。

深澤寛次05
posted by makuuchi at 09:17| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

review:東北芸術工科大学洋画コース 卒業生選抜展 HANAJI《12/23》

東北芸術工科大学洋画コース 卒業生選抜展 HANAJI
銀座東和ギャラリー
東京都中央区銀座3-10-7
12/18(月)〜12/23(土)
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)
HANAJI DM.jpg


東北芸工大を卒業したアーティスト6名のグループ展です。
そのなかで、b.TOKYOで個展を拝見して強く印象に残っている高松和樹さんの作品が特に印象的でした。

HANAJI 高松和樹03

高松さん、昨年の個展ではダイナミックでポップな作品から抽象的なアプローチなど、バリエーションに富んでいてなおかつそれぞれがユニークだったのですが、今回はその個展で初めて挑戦してみたという表現手法、ある地点(見る側の位置)からの距離によって調度を変化させていく作品が出展されていました。

個展で発表されたときよりもさらに色のグラデーションが細かく分割されていて、距離をおいて見るとその差が認識できず、色の濃淡が流れるように繋がって見えて、大変面白い効果を生み出しています。

HANAJI 高松和樹05 HANAJI 高松和樹06

HANAJI 高松和樹07

手法の面白さはもちろんですが、織り込まれるモチーフの多さとその構図もユニークです。
縦長の大きな画面が3面連なって展示される様子は圧巻でかつかなり未来的。しかし、至近で観ると手描きの筆の流れの痕も見受けられたりして、その未来的な雰囲気とアナログな質感とのギャップも面白く感じられます。

このモノクロームの作品とは別に1点、キューブの塊に鳥の足が生えているというのが描かれた作品が。
この1点が、高松さんのこれからに大きな期待を抱かせる大変興味深いものになっています。
まずなにより、かっこいい!そして、そのかっこよさが分かりやすい!
透明感のあるグリーンのグラデーションで画面から立ち上がるような立体感で表現されたミニマルな姿の鳥。実験的な先鋭さとともに、ユーモアもクールに収められています。
今回出展されなかったスタイルの作品もまた観たいのですが、このスタイルもどんどん発展させていってほしいです。

HANAJI 高松和樹01

HANAJI 高松和樹02


今回参加された他のアーティストの皆さんも、ユニークな個性をそれぞれのパートで発揮されていました。
大浦和代さんや加藤郁美さんの作品は、もっと時間をかけて観たかったです...。
佐藤妙子さんのうねるような銅版画には圧倒されました。
鈴木永一さんは絶妙な陰影で浮かび上がる太い線が見せる世界が楽しいです。
小林けんいちさんの写真、独特の青のモノトーンが映し出される馴染みのある光景をもどこか懐かしいものに買えてしまっていて、面白いです。

それぞれのアーティストの今後が楽しみです!

HANAJI 高松和樹04
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2006年12月29日

review:TRACE展〈IX〉《12/23》

TRACE展〈IX〉
SOL
東京都中央区銀座6-10-10 第二蒲田ビルB1F
12/18(月)〜12/23(土)
11:00〜19:00(金:〜20:00、最終日:〜17:00)
TRACE2006 DM.jpg

真っ白なコラボレーション。

4名のユニークなスタイルのアーティストがピックアップされたグループ展。
そのうち渡瀬愼也さんと長田堅二郎さんは既知だったのですが、今回はじめてのお二人と合わせてお互いがそのスタイルを意識しあったのかと思わせるほどに、見事に調和していました。


まず、松木恵次さん。
入口左手の壁に、蜘蛛の巣が立体的に壁から表出しているような、繊細な作品。インスタレーション的というか、その存在は壁に設置されていながらその空間をしっかりと支配していました。
に蛍光灯で明るく照らされた今回の展示のなかにあって敢えてスポットも当てられていて、壁に影が映り込んで、さらに深みを増していました。

TRACE松木恵次02

TRACE松木恵次01


中根秀夫さんは平面の作品。
一見すると真っ白の画面には何も描かれていないように感じるのですが、よく眺めると画面を上から下へと滴るように白い絵の具が画面の上をなぞった線状の痕が。
白の上に白、というアプローチは、逆に中根さんのポテンシャルやイマジネーションに対して興味が涌いてきます。

TRACE中根秀夫02 TRACE中根秀夫03

TRACE中根秀夫01


渡瀬愼也さんは、今回と同じSOLでの個展やいくつかのグループ展などでも拝見していて、テープを画面に貼ってミニマルでリズミックな世界を構築しています。
今回は壁一面をほぼ覆う大きな作品が、メインスペースに1点展示されていました。遊び心が満載の画面には、イメージの自由さとそれが作り上げた秩序の安定感との両方が伝わってきます。
事務所にドローイングが1点あり、こちらはテープを一切使用してなかったのですが、やはり幾何学的アプローチがなされていて興味深かったです。

TRACE渡瀬愼也02 TRACE渡瀬愼也03 TRACE渡瀬愼也04

TRACE渡瀬愼也01


長田堅二郎さんの展示は今年、表参道画廊MUSEE Fで拝見していて、その流れもあってか、今回も白くて小さなスティックが繋がって毛細血管を拡大したような世界が展開されていました。
こちらも渡瀬さんと同様にミニマルなアプローチがユニークです。

TRACE長田堅二郎02

TRACE長田堅二郎01


こういったユニークな個性がひとつの空間にパッケージされ、申し合わせたように白い作品が集まって、お亜互いが響きあい、引き立てあう様子が痛快でした。

TRACE 001
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2006年12月28日

review:YUMIKO AMANO EXHIBITION EVERYBODY DOWN THE CHIMNEY《12/23》

YUMIKO AMANO EXHIBITION EVERYBODY DOWN THE CHIMNEY
GALLERY HANA SHIMOKITZAWA
東京都世田谷区北沢3-26-2
12/19(火)〜12/26(火)
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)
天野由美子DM.jpg

「チムニー」という名が付けられた、アリクイがモチーフになったキャラクター。
天野由美子さんは、この「チムニー」にイマジネーションを託して、その佇まいにさまざまな表情を乗せていきます。
体から細長く伸びた頭のチムニーは、時には2本足で立ち上がってたり、腰かけていたり。これまでもホントにいろんなバリエーションのチムニーに出会いましたが、今回は下北沢というあらゆるカルチャーが交差する街に新しくできた新しくできたGALLERY HANA SHIMOKITZAWAの自然光が気持ちよく差し込む空間のなか、遊び心満載のあどけない姿で楽しませてくれます。

天野由美子 HANA04 天野由美子 HANA05 天野由美子 HANA06 天野由美子 HANA07

頭部は体から先細りになっているだけで目や口や耳はなくて(「鼻」はあるのかも」)、いわゆる「表情」は見られないのですが、その先細りの頭部の傾げ具合がなんともかわいらしく、1体1体が何をやっているか良く伝わってきます。のんびりとしていて、いきいきとしているんです。

天野由美子 HANA08 天野由美子 HANA09 天野由美子 HANA10

ぱっと空間に入ったときに真っ白のチムニーがいろんな姿かたちで目に飛び込んできて、とたんに心が和みモードに(笑)。
すごく楽しいインスタレーション。

天野由美子 HANA03


今回の個展では、磁器製のちいさなちいさなチムニーがいたり、山羊のようなちょっとイレギュラーな作品があったり。
インスタレーションのとはまた違ったかわいらしさが溢れていて、いとおしくなってきます。

天野由美子 HANA15

天野由美子 HANA14 天野由美子 HANA16

天野由美子 HANA13


これまでの展示風景も数点写真パネルで展示されていました。
今回のとのギャップも実感できます。

天野由美子 HANA11 天野由美子 HANA12


天気のいい早い時間に伺ったこともあって、とても気持ちよくこの空間を体験することができて、和みつつも清々しい印象でした。
これまで折りに触れて拝見してきたので僕にとってチムニーは大変馴染みのあるキャラクターなのですが、これからどんな素材、どんなかたちで登場するのか、すごく楽しみです。
今回なんてまさか壁を昇っているとは思っても見なかったので(笑)。

天野由美子 HANA01
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2006年12月27日

review:矢野真展 〜輪廻の扉〜《12/17》

矢野真展 〜輪廻の扉〜
ギャラリー52
東京都千代田区飯田橋3-2-12
7/14(金)〜7/19(水)
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)
矢野真DM.jpg

「絵画的な立体」と表現したくなるような、不思議な奥行きを持った作品です。
昨年の新生堂での個展で拝見して、幻想的な佇まいの半身像の静謐感を伴った迫力が強く印象に残っていて、今回の個展も楽しみでした。

入口すぐの壁に、手をモチーフにしたオブジェが。
これだけリアルに再現されていながらも、他の装飾と深く調和して虚構的なイメージが伝わってきます。

矢野真 52 01 矢野真 52 02


今回も半身像がメインとなっていました。
2体展示されていた半身像は等身大に作られていて、部分的に朽ちたような風合いに施されていたり、その奥に鏡が忍ばされていたり、そういったアクセントが思慮深さを感じさせてくれます。

矢野真 52 07 矢野真 52 08

矢野真 52 06

顔の表面が剥がれ、その下からおだやかな表情が現れている様子は、新たな生命の息吹の純粋さ、純朴さや、人間の深いところにある本質を現しているような気がします。
これだけ圧倒的に緻密に再現されていて、だからこそ、リアルにフィクションの世界へと誘ってくれているような印象を受けます。
冒頭に書いた「絵画的」というのは、こういった薄い表面が重ねられた部分がレイヤー的な表現と近いような印象を受けたからで、立体そのものでありながらもイメージのなかでは3次元で納まりきれない感じがするんです。

矢野真 52 12 矢野真 52 13 矢野真 52 14

矢野真 52 11


他の作品も大変深いです。
取り入れられるモチーフのひとつひとつが丁寧に、精緻に再現されていて、その再現・構成力に目を奪われます。

矢野真 52 03 矢野真 52 04 矢野真 52 10

矢野真 52 18

矢野真 52 17

数点展示されている平面作品は、立体を撮影したものを取り入れたモノタイプの版画です。
青い透明の飛沫が画面にわずかに飛び散り、画面に収められた半身像がいる世界を現実の世界から遠ざけているような...すぐそこにあるように感じられるのに到達できないもどかしさが、このちいさなモノタイプの作品へのいとおしさを助長します。

矢野真 52 16

矢野真 52 15

とんでもなくナイーブな世界です。
posted by makuuchi at 22:14| Comment(1) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月26日

review:Prints Exhibition 女子美術大学院美術研究科 版画研究領域修士1年《12/16》

Prints Exhibition 女子美術大学院美術研究科 版画研究領域修士1年
文房堂ギャラリー
東京都千代田区神田神保町1-21-1 文房堂ビル4F
12/11(月)〜12/16(土)
10:00〜18:30(最終日:〜17:00)
Prints exhibition.jpg

タイトルにもある通り、女子美の大学院で版画を専攻されているアーティストによるグループ展。
版画のスペシャリストがつくり出すユニークな世界が集まった、観ていて楽しい展覧会でした。

まず、片平菜摘子さん。
昨年に偶然伺ったグループ展で片平さんの作品を拝見して、木版らしい温かな質感と、多色多版で作り上げられる緩やかなグラデーションが印象に残って以来、折りに触れて展示を拝見しています。

女子美版画 片平菜摘子 02 女子美版画 片平菜摘子 03

水彩木版特有の淡いトーンが重なって、やわらかい世界、緩やかな時間が画面に充ちています。
セピア調の色で描き出される風景。そこに登場する運動服姿の子供達やちょっと古めかしい腰かけのカフェ、テニスコートでテニスに興ずる様子など、不思議と懐かしい気分が沸き上がってきます。
決して「強さ」は持ち合わせていませんが、観ていて「いいなぁ...」と、優しい気持ちになってしまうんです。

女子美版画 片平菜摘子 01


はじめて拝見した中では、今回もっとも印象的だったのが木村薫さん。
木版画とリトグラフとの混合というユニークな組み合わせで、どこか儚げな世界が描き出されています。

女子美版画 木村薫 01 女子美版画 木村薫 03

木版の凸版の彫り痕は舞い散る木の葉を思わせ、画面のなかで可憐にひとつの流れを生み出しています。
そして、その木版のと調和する色彩が画面全体を覆い、ある種特異なジャパネスクが展開されているように感じられます。

女子美版画 木村薫 02


もちろん、他のアーティストもユニークな個性をそれぞれの画面で発揮していました、

ほっこりとしたモチーフや色合いが心を和ませる垣内真理さん。
女子美版画 垣内真理 01 女子美版画 垣内真理 02

垣内さんとは対照的に、くっきりとした色が画面の中で強く主張し、そこに登場する人のような姿のキャラクターやモチーフがパワフルに感じられる木暮靖香さん。
女子美版画 木暮靖香 02 女子美版画 木暮靖香 01

オリエンタルなモチーフが印象的で、石に刷られたりすることでさらにその雰囲気が効果的に強調されているのが面白い山口茉莉さん。
女子美版画 山口茉莉 01 女子美版画 山口茉莉 02

紙の質感も含めて、モノクロームで描かれる絵はどこか中世風、あるいは古代的で、物語の一場面をその雰囲気ごと現され、そこに緩やかに引き込まれるような質感が印象的な白石真理さん。
女子美版画 白石真理 01 女子美版画 白石真理 02

人物像が独特の陰影をもって描き出される鈴木奈々さん。顔がない姿というのもなんだか興味深く感じられます。
女子美版画 鈴木奈々 01 女子美版画 鈴木奈々 02 女子美版画 鈴木奈々 03

こういったかたちでさまざまな個性と出会えるのは大変嬉しいです。
それぞれ、これからどういった方向に進み、表現の幅を広げ、どう変化していくかもすごく楽しみです。
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2006年12月25日

review:加藤美佳展《12/16》

加藤美佳展
TOMIO KOYAMA GALLERY
東京都江東区清澄1-3-2-7F
12/16(土)〜1/20(土)日月祝・12/29〜1/8休
12:00〜19:00
加藤美佳DM.jpg

今さら改まって書くことでもないのですが、清澄に移転してさらに広くなったTOMIO KOYAMA GALLERY
このたっぷりのスペースをぜいたくに使った、加藤美佳さんの個展です。

展示されているのはすべて合わせても10点足らず。
しかし、だからこそそれぞれの作品、あるいは作品が集まる一角が持ちうるポテンシャルが十二分に発揮されているように感じられます。

加藤美佳03


入口左手には、木炭で描いたモノクロームの作品が並びます。
木炭というあまり器用な表現には向かないイメージがある素材を用いて描かれているのは、動物たちがたわむれている光景や、静物など。
一見して「写真?」と思ってしまうほどに描かれている絵の雰囲気は生々しいです。
特に静物においては、ガラスの透明感、陶器のようなものの表面の艶の艶やかさが、光をすべて吸収してしまうの木炭の黒で見事に表現されていて驚かされます。

加藤美佳04


油彩の作品は3点。
木炭の作品よりもさらにゆったり、たっぷりとスペースを使って展示されていて、それぞれの作品から沸き上がるイマジネーション、インスピレーションも最大限の広がりを伴って心の中に浮かんでいきます。

花。
花弁が描く自然な稜線。
入口右手の壁の奥に展示された作品では、大きな画面に花が拡大されて描かれることで、その可憐な曲面が画面の奥から力強く迫ってくるような錯覚を覚えます。拡大されることで花弁の傷の生々しさも尋常でない迫力を伴って、濃くなった赤の部分が押し寄せてくるような感触を覚えます。
部分的に傷んでいる熊のぬいぐるみがその花の中にいて、そのギャップが何か予想もつかない方向へとイメージを広げてくれているような気がします。

加藤美佳02


光。
油彩の作品において、光の表現が独特なのも印象的です。
画面全体が白っぽい光に包まれ、そこにあるさまざまな花の色もその淡い光に染まったような。
しかし、小さいながらも強い色の粒子の飛沫が画面全体に散らばっていて、淡い色の広がりとは裏腹に、その色彩のノイズが焦燥感を煽ります。
宝石のような美しさを敢えてストレートに伝えないことのユニークさに強く惹かれます。

加藤美佳01


そしてメインスペースにはもう1点、人形のオブジェが展示されています。
この青い肌のちいさな半身像を観ると、横浜美術館の「アイドル!」展にもう一度あらためて足を運んでみたくなります。
また、カウンターの奥に展示された銅版画も、油彩の作品や木炭画とはまた違ったテイストながら、ユニークな世界が展開されています。


とにかくこの広い空間で、それぞれの作品に対してさまざまな距離をとって作品に接することで、いろんなイメージを受け取れる展覧会です。
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review:阿部穣 作品展《12/16、12/17》

阿部穣 作品展
渋谷東急本店8階美術画廊
東京都渋谷区道玄坂2-24-1
12/14(木)〜12/20(水)
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)
阿部穣 渋谷東急DM.jpg

デパートの画廊の中でもひときわ広い、渋谷東急本店の美術画廊。
およそ半分をパーテーションで仕切り、奥のほうのスペースで阿部穣さんの個展が開催されていました。

画廊内に入り、見渡してまず目に飛び込んできたのが今回出展された中で一番の大作、阿部さんが描く昇竜図。

阿部穣01

阿部さんというと渋めの画風というイメージがあったので、この竜のポップでコミカルな出で立ちにはホントにびっくり。
今までにない明るさの青を背景に、勇ましい表情で大きく口を広げ、雲間から体をダイナミックにうねらせて現れる竜の姿。親しみやすさと共に、頼もしさをも感じます。

この竜を囲むように、いつもの阿部さんの渋い世界がそれぞれの画面の中から滲み出ています。
渋さとともに、作品によってはユーモアも忍ばせられていて、そのことに気付いたとき、なんとなく嬉しい感じがするんです。

阿部穣02 阿部穣03

阿部さんの作品の多くで見逃せないのが背景のマチエル(画面表面の質感)です。
描かれる主題こそ昔から連綿と伝わる花鳥画からの影響を強く感じ、その動物たちや花、静物の朴訥とした渋い佇まいから流れる時間の緩やかさ、雰囲気の味わいは何とも言えない心地よさがあるのですが、ひとたびその主題から目を外し、背景に注目すると、また違う世界が展開されています。
荒涼とした画面の立体感。これだけ見るとアバンギャルドと表したくなるほどに、力強さを内包しています。
しかしその背景は、不思議と主題となるモチーフを見事に引き立てています。このギャップも独特の味わいを持っているように感じます。

阿部穣06 阿部穣07

阿部穣04

竜ともうひとつ、今回の個展でひと味違うインパクトを放っていたのが、正面から観た象を描いた作品。
金魚や亀、蛙、兎などといった比較的小さな動物たちが登場する中で、実蔵する動物としてはもっとも大きい象が画面に入りきれないスケールで描かれていて、その姿、迫ってくる力強さは圧巻です。
加えて白い象ということもあってか、荘厳さ、神々しささえも感じられます。

阿部穣05

キャンバスに岩絵の具というちょっとイレギュラーな組み合わせながら、お互いの素材の良さ、味わいもしっかりと活かしながらユニークな世界を作り上げている阿部さん。
今回の竜や象のように、意表を突くモチーフが登場したときに、その動物や植物たちがどんな表情をしているか、興味深く、かつ楽しみです!
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2006年12月24日

〜12/24のアート巡り

《12/19》
mius×HAYATO NY
HAYATO NEW YORK Tokyo
東京都港区南青山5-9-3-3F
12/11(月)〜3/11(日)火、1/1〜1/5休
11:00〜20:00(土日祝:10:00〜19:00)
mius HAYATO.jpg

コニカミノルタプラザでの個展も印象的だったmiusこと木内美羽さんの、美容院での個展。
美容院がお休みの火曜日に、この展覧会のパーティーが開かれました。
3階へと続く階段に展示される木内さんの写真。あの無機的な光景がカメラのファインダーで切り取られ、その光景が持つある種幾何的な質感が引き出された作品群が、3階へと続く階段の薄いクリーム色の空間に、強烈なアクセントとなっています。
美容室内は暗くされ、各所にパネルにマウントされた木内さんの写真が展示されていました。
そして面白かったのがVJのライブパフォーマンスで、木内さんの写真をコンピュータに取り込んで、万華鏡のように動かした映像。ただでさえ無機的な質感が強調されているところでさらに無機的になっていてかなりクール。DJが繰り出すハウスビートとも合っていて、最高でした。


《12/21》
・松尾たいこ個展“Twinkle Twinkle”
SPACE YUI
東京都港区南青山3-4-11 ハヤカワビル1F
12/18(月)〜12/26(火)日休
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)
松尾たいこ YUI DM.jpg

昨年に六本木ヒルズのアート系のショップ内のスペースで開催されていた個展が印象に残っている松尾たいこさんの青山での個展。
くっきりとした色、そういった色が重なって、それぞれの色が「立っている」感じがします。それに加えて女性らしいかわいらしさも感じられます。


☆― 岡倉天心に捧げるオマージュ ― 第3回 理想の会
渋谷・東急本店 8階 美術画廊
東京都渋谷区道玄坂2-24-1
12/21(木)〜12/27(水)
11:00〜20:00(最終日:〜17:00)
理想の会2006 DM.jpg


《12/23》
☆YUMIKO AMANO EXHIBITION EVERYBODY DOWN THE CHIMNEY
GALLERY HANA SHIMOKITZAWA
東京都世田谷区北沢3-26-2
12/19(火)〜12/26(火)
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)
天野由美子DM.jpg


☆第7回 渓展(日本画)
@ギャラリー渓
東京都新宿区歌舞伎町1-6-3 石塚ビル9F
12/18(月)〜12/23(土)
11:00〜18:30(初日:13:00〜、最終日:〜16:00)
渓12/18.jpg


・高橋雅美展
@銀座スルガ台画廊
東京都中央区銀座6-5-8 トップビル2F
12/18(月)〜12/23(土)
11:00〜19:00(最終日:〜17:30)
高橋雅美DM.jpg

キャンバスに岩絵の具で描かれた具象の作品。
ほっこりとした風景画や室内の光景が描かれている作品がある中で、ピアノがある部屋を描いた作品の静謐感、黒のピアノの蓋に映り込むカーテンの赤の鮮やかさが印象に残っています。


☆TRACE展〈IX〉
SOL
東京都中央区銀座6-10-10 第二蒲田ビルB1F
12/18(月)〜12/23(土)
11:00〜19:00(金:〜20:00、最終日:〜17:00)
TRACE2006 DM.jpg


☆深澤寛次 展「リングワンデルンク」
GALLERY b.TOKYO
東京都中央区京橋3-5-4 第一吉井ビルB1F
12/18(月)〜12/23(土)
11:00〜19:00(金:〜21:00、最終日:〜17:00)
深澤寛次DM.jpg


☆東北芸術工科大学洋画コース 卒業生選抜展 HANAJI
銀座東和ギャラリー
東京都中央区銀座3-10-7
12/18(月)〜12/23(土)
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)
HANAJI DM.jpg


・翔 Vol.2
Gallery d.g
東京都中央区新川2-7-4 矢島ビル1F
12/18(月)〜12/23(土)
12:00〜20:00(最終日:〜17:00)
翔vol.2 DM.jpg

日本画のアーティスト6人がピックアップされたグループ展。
荒木享子さんの、グリーンが印象的な半具象風の作品、これまでと比べて色調こそ荒木さんらしい感じですが、質感がほっこりとしているように思えて、ちょっと今後が楽しみです。
翔 荒木享子01

関本麻巳子さんは、薄い闇を思わせる青の静けさと、荒れ目の画面表面の質感とのコントラストが面白く感じられます。月と蜥蜴とが薄い闇で競演している妖しさも印象的です。
翔 関本麻巳子01

喜多祥泰さんは、立体的なアプローチの力強さが相当なインパクトを放っています。
古代の防具を思わせる重厚な感じが伝わってきます。
翔 喜多祥泰02 翔 喜多祥泰01

金子朋樹さんの作品、2点のうち先日スルガ台画廊でも発表された作品があって、その再会がまず嬉しかったです。
これまでの金子さんの作品とは一線を画した、繊細な具象が取り入れられた鮮やかな赤の作品。
燃えるような赤の中に細やかに描かれる笹の葉、その可憐さと金子さんらしい危なさとが共存しているように感じられます。
翔 金子朋樹01

四宮義俊さんの建て具の作品、箔と紋様との意図的なズレがもたらす奥行き感がユニークでした。
松永龍太郎さんの作品は板に直接描かれたもので、現代的なモチーフがとにかくかっこいいです!


・almanac #05 ...... depositors meeting
art & river bank
東京都大田区田園調布1-55-20 #206
12/22(金)〜12/24(日)
14:00〜21:00
almanac #05 DM.jpg

さまざまなアート関係者がセレクトしたアーティストのファイルが棚の中にたくさん置かれていて、木になったものを手に取って眺めるというユニークなイベント、もう5回目とのこと。
けっこうな数だったのでさすがに全部観ることはかなわず、既知のセレクターであるBOICE PLANNINGの加藤慶さん、言水制作室の言水ヘリオさん、TABの橋本誠さんの棚をチェック。
すでに知っているアーティストのファイルもあってそれはそれでいろいろと思い出すことがあって楽しかったのですが、未知のアーティストでもっとも興味を持ったのは、橋本さんがセレクトしていた写真のアーティストでした。
それにしてもたくさんの方々がいらっしゃってたことがびっくりで。


《12/24》
・第五回「VIA」展《洋画・日本画・版画》
日本橋高島屋6階美術画廊
東京都中央区日本橋2-4-1
12/20(水)〜12/26(火)
10:00〜20:00(最終日:〜16:00)
via展 DM.jpg

先日、ガレリアグラフィカbisでの個展で発表された岡本雄司さんの「四ッ谷駅」がこちらで1枚の壁にフラットで展示されていて、その光景の圧巻の度合いが尋常でなくて。
もう、すごく嬉しいです。
ぜひとも四ッ谷駅を実際に利用されている方々にも楽しんでほしい、そういう機会が得られたら最高だなぁ、と思うのです。
岡本雄司 高島屋01



それと、日曜日には現代美術館に大竹伸朗展も観てきました。
一言、重い、と。
ものすごいゼネラリストだなぁ、とも。
そして、このパワフルなバイタリティに感化され、勇気づけられる人もいると思いますし、それはそれで素晴らしいと思うのですが、僕にはエゴの主張がいささか強すぎるように感じられ、あまり響かなかったです。
posted by makuuchi at 23:29| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月23日

review:神保千絵展《12/16》

神保千絵展
Oギャラリー
東京都中央区銀座8-11-3 山田ビル2F
12/11(月)〜12/17(日)
12:00〜20:00(日:11:00〜16:00)
神保千絵DM.jpg

オーディオを描いた作品群。
このモチーフを岩彩で描くアイデアが面白いです!

ギャラリーへ入るとまず目に飛び込んできたのが大きな画面に描かれた4点組の作品。

神保千絵01

オーディオシステムがそれぞれの画面に分割されて描かれていて圧巻です。
このサイズだと、音が聴こえてくるというよりむしろ幾何学的なモチーフが微妙にバランスを崩されて提示され、映像的・時間的にイメージが広がっていくような感じです。


ずらりと並ぶ小品は、真空管からインスパイアされたとのこと。

神保千絵03 神保千絵05

神保千絵04

小さな画面の中に無機的なモチーフがさまざまなかたちで描かれ、そのバリエーションの多さがさまざまなリズムをかき鳴らしているように感じます。

五線譜が基になったという作品は、さらに幾何学的なアプローチがなされています。
そこでは線や色面が抽象的に組み重なりますが、線が交差しているところが少ないせいか、そこから感じる音は不思議と整理されているんです。この整理された感じのおかげでむしろ自然に幾何学模様を受け入れられて、気持ちいいです。

神保千絵06

神保千絵07


前回の同じ場所での神保さんの個展も拝見していて、そのときも同じモチーフ、「音」にまつわる作品が多かったのですが、そのときと比べて今回は作品が落ち着いたトーンの色調で統一されていて、そういうやわらかくてナチュラルな色彩に囲まれている心地よさが印象的でした。そしてそれが岩絵の具の独特の質感であることも、神保さんのユニークさを押し進めているように感じられます。

神保千絵02
posted by makuuchi at 09:34| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

review:山崎龍一展 〜Culture-nound syndrome 2〜《12/16》

山崎龍一展 〜Culture-nound syndrome 2〜
galleria grafica bis
東京都中央区銀座6-13-4 銀座S2ビル1F
12/11(月)〜12/16(土)
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)
山崎龍一DM.jpg


通り沿いがガラス張りになっていて、ギャラリーの中の様子が入る前から見えるのですが...

山崎龍一02

この表情(汗)。
妙に達観したというか、確信犯的なというか...醒めた表情が何かを語りかけてくるような。いろんな言葉やシチュエーションが脳裏に浮かんできます。
実際にそれぞれの作品には台詞のようなタイトルがついていて、それを見てあらためて「なるほどぉ...」と思ったり。

・・・というか、彼は実際にやらかしているんですけど(汗)。

山崎龍一01

「お前・・・」とか思いながらその作品の目の高さに近付こうとしてしゃがんで眺めていると、背後に気配が。









・・・後ろを振り向いてみる。









Σ(゚Д゚) ハッ!!!

山崎龍一03

なんでそんなところに入ってんの!!!Σ( ̄口 ̄;)
この納まりの良さにも感心しつつ、それでもやけにキッチュな雰囲気が醸し出されていてたまらない。。。

さらに、事務所付近のちょっと入り組んだ場所には...

山崎龍一06 山崎龍一07

山崎龍一05

・・・お前ら...(汗)




展示スペースは比較的がら〜んとしているのですが、その空間的な余裕が作品ひとつひとつから浮かぶイメージに幅を持たせてくれて、それぞれの作品の表情や仕草から伝わる声に耳と心を傾けつつ、「ちょっとまてw」とツッコミも入れながら過ごす時間はけっこう楽しかったり。

作品を目にするたびに「何やってんのよw」と思わずにはいられない、愛嬌をもったニヒルさがたまらないです。

山崎龍一04
posted by makuuchi at 08:59| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする