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2006年11月15日

review:伊庭靖子展《11/10、11/11》

伊庭靖子
GALLERY MA2
東京都渋谷区恵比寿3-3-8
11/10(金)〜1/13(土)日月祝休、12/23〜1/8休
12:00〜19:00
伊庭靖子DM.jpg

僕がアート巡りに拍車をかけるきっかけとなったアーティストのひとり、伊庭靖子さん。
一昨年に代官山のアートフロントギャラリーで開催されていた個展をぴあで見つけてそこに掲載されていたまるで写真のような白いクッションの絵を観ていてもったてもいられず、さっそく足を運んでその作品を直に拝見して「絵ってここまで表現できるんだぁ、すごいなぁ...」とめちゃくちゃ感動した次第で。

その後、昨年初めに森美術館で開催された「秘すれば花:東アジアの現代美術」に出展されたのを拝見して、さまざまなスタイルのアートがひしめく中、たしか最初の展示室の最後の一角に数点展示されたクッションの絵がこの展示においてひときわ爽やかに感じたのも記憶に残っています。

その伊庭さんの個展が、恵比須にある新しいギャラリー、GALLERY MA2で開催されるということで、さっそくオープニングに行ってきました。


恵比須の坂の上の角にあるGALLERY MA2。1階と2階とがギャラリースペースとなっていて、1階は天井も高く空間的に広々としていて、奥の階段を上がった2階はちょっと変わった床のかたちがユニークな空間を生み出しています。いかにも新しいギャラリーといった斬新な作りで、なんとなく未来的な空気に包まれた感じになって気分が高揚します。

こんな空間で開催されている伊庭さんの個展。足を踏み入れると、まずストライプの模様が入ったクッションを大きなキャンバスに描いたダイナミックな作品が目に飛び込んできて、さっそく伊庭さんが作り上げる世界に引き込まれます。

MA2 伊庭靖子01

それぞれの画面いっぱいに拡大されて描かれるクッション。
表面の陰影がこの大きさにおいて一切の妥協もなくていねいに緻密に再現されていて、画面から少しの距離を置いただけでその表情が写真よりもリアルに迫ってきます。接近すると今度は油絵の具の質感が生々しく伝わってきて、そのギャップにもあらためて驚きます。
それにしても、このグラデーションの構成力、再現力はちょっと信じ難いです。これを再現するために準備される絵の具の色は相当な数に昇るそうで、これを再現するためにはどれだけコンセントレーションを高く維持しなければならないのかと考えると、途方にくれてしまいます。

MA2 伊庭靖子05



これまでにもさまざまなテーマを選んでこられた伊庭さん、今回はお皿の絵が登場しています。
これが感動的。。。

MA2 伊庭靖子04

真っ白なお皿は、背景の白とお皿の白とが織り成す陰影で、その静かな表情がていねいに描かれています。

MA2 伊庭靖子03




今回の個展を拝見していちばん印象に残っているのは、1階に展示されたお皿の絵です。

その艶やかさ。。。
その透明感。。。

どこまでも遠くへと続いているような白を背景に描かれた磁器のお皿。
わずかに中に残る水のきらめきや縁の部分が光を反射して輝く様子など、描かれるお皿の表情のひとつひとつがつくり出す美しさを逃さすことなく、これ以上ないくらいに豊かに表現されているんです。
たったひとつのお皿が描かれた世界には、それだけでひとつの宇宙を形成していると言ってもいいくらいに大きなスケールを感じてしまいます。

MA2 伊庭靖子02


この展覧会、会期が長いのがホントに嬉しいです!
ぜひとも多くの方々に、このピンと張りつめたような孤高の表現が醸し出すパワーと、それでいて優しさと慈しみに溢れた深い静謐感を、実際の作品と対峙してその大きさを実感しながら、じっくりと堪能してほしいです。
posted by makuuchi at 01:57| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする