2006年11月30日

review:上根拓馬「究極の生命形態へ…」《11/25》

上根拓馬「究極の生命形態へ…」
デザイン研究所 Platform
東京都渋谷区恵比寿1-7-6 陸中ビル1F
11/24(金)〜12/8(金)日祝休
11:30〜19:30

ネットでこの展示の情報に辿り着き、面白そうだと感じて行ってきました。
デザイン研究所 Platformははじめて伺う場所でしたが、この前を通る機会は結構あって、その度に「なんだか面白そうなお店があるなぁ」と気になっていた、通りの角のちいさなスペースでした。

今回の企画はポートフォリオのコンペの入賞者の展示とのこと。PLatformの棚にはポートフォリオがずらりと詰まっていて、そのなかに既知のアーティストのもあり、データベースの集積としても興味深いです。


で、上根拓馬さんの作品。
タイトルにもある生命形態がひとつのテーマとなっていて、さまざまな動物の骨格のドローイングに始まり、最終的にはひとつの空間を用いたインスタレーションで完成を見るといったもの。今回の展示では、これまでに実現したものや今後実現を目指すもののマケット(模型)までが展示されています。

キューブ型のコンパクトなショーケースに収められたマケット。
哺乳類、鳥類、爬虫類などがそれぞれのテーマとなり、それらの骨格が幾何的なモチーフのなかに取り込まれて、未来的なイマジネーションの広がりの過程がシンプルに提示されています。
その姿が単純にかっこいい!
実現化したものもについてはその展示の写真も掲載され、マケットでは再現できない部分や、マケット段階からさらにイマジネーションの展開が起こっていることも分かって、まだ実現されていないものについてもいろいろとイメージが広がります。

上根拓馬05 上根拓馬06

上根拓馬07


ここに至るまでのドローイングも展示されています。
トレーシングペーパーにペンで描かれた動物の骨の模写。細い線でケレン味なくなめらかに描かれ、陰影が付けられないシンプルさがそれぞれが持つ形の美しさをくっきりと引き出しているように思えます。

上根拓馬04

そのドローイングがコンピュータに取り込まれて平面で展開された作品も面白い!
骨格などの有機的な曲線と幾何学的なモチーフとが重なって黒地に白抜きで展開され、より先鋭的にフューチャリスティックな世界が提示されています。
ひとつのモチーフが描かれたものがパネルにマウントされて展示されている作品は1点のみですが、設置されているファイルでもたくさん観ることができます。

上根拓馬01


そして、さらに圧巻なのが骨格の線画をダイナミックに取り込んでマンダラ風に展開した作品。
とにかくそのボリュームに圧倒されます。

上根拓馬03

上根拓馬02

ホントに小さな空間ですが、そこに詰め込まれたイマジネーションはユニーク。
上根さんのここから先の展開がホントに楽しみです。
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2006年11月29日

review:村田朋泰展 森川町弐番地H6書房之怪《11/18、11/23》

村田朋泰展 森川町弐番地H6書房之怪
@ヴァリエテ本六
東京都文京区本郷6-25-14
11/7(火)〜11/25(土)日月休
12:00〜19:00
本六 村田朋泰DM.jpg

今さらながら、今年初めの目黒区美術館での企画展に行かなかったんだろう、と後悔しているわけですが。
もっとも、同時期に開催されていたGallery MoMoでの個展には足を運んだ際に村田さんの映像作品の味わい深い世界をじっくりと堪能していて、今回のヴァリエテ本六での展覧会の情報を知ったときもすごく楽しみで。

というわけで、東京大学の向かいにある和める不思議空間、ヴァリエテ本六へ行ってきました。
本郷通り、ギャラリーがカフェと併設だったりしながらけっこうたくさんあるんですね。

都合2度足を運んだんですが、最初に伺ったときは2階へ上がって映像作品を。
アニメーションと人形による実写が上映されていました。

まず、「さか立ち君」とかいう名前(正確な名前は失念してしまいました)の胴衣を身につけ逆立ちですべてをこなすキャラクターがひたすら食べまくる、あるいはひたすら化け物に追い掛けられるといった取り留めもない波乱万丈なストーリーの作品。
そこまで逆立ちでやっちゃうのかよ!!!Σ( ̄口 ̄;)っていうのの連続で、もうその徹底っぷりに脱帽。

おなじみの人形による作品。この味わい深さといったら...。
歩く様子から、首をかしげる仕草、連れている犬が揺らすしっぽ、そしてまばたきに至るまで、そのひとつひとつの動作がなめらかに再現されていることへの純粋な驚き、感動。一体どれだけの手間がかかっているのだろう、と。
そういう人形たちのあったかな「演技」がさらにストーリーに奥行きをもたらし、夢と記憶との狭間にいるような浮遊した懐かしさが心のなかに沸き起こってきます。ひとつのストーリーを観終える度に、自然と「ありがとう」と感謝の気持ちが。

23日には、前回伺ったときに余裕を持ってチェックできなかった1階で展開しているインスタレーションをしっかりと拝見。
薄暗い会場内に、まさに「怪しい」雰囲気が鼻に突くダイナミックなジオラマと、思わず膝の力が抜ける脱力系のタブローが多数展示されていました。

入口には実物大(?)の「さか立ち君」が。
さらに、なんとも味のある手描きのイラストが入った白のボックスが棚の上に並び、その上にさりげなく映像作品に登場する人形が。
村田朋泰07 村田朋泰08

会場内のそこかしこに湧いている雲。
その間隙を縫うように...ってそんな鋭いテンションでは全然ないのですが、パネルに描かれた絵やモノクロの写真がいろいろと。
村田朋泰06 村田朋泰09

村田朋泰10 村田朋泰11

村田朋泰15

小さなパネルに描かれた道路の連作は、なんだかレトロな雰囲気が充満していていい感じです。
村田朋泰12 村田朋泰13 村田朋泰14

そして、スペースを大きく占め、ものすごい存在感を放っていたジオラマ。
天上には巨大なアイスクリームのカップのかたちをした円盤が飛び、床には古書が散らばるなかに古びた一軒家。いたるところに取り付けられたたくさんの電飾が「ひと昔前の未来」を連想させます。いっしょの空間に配置されていたガチャガチャやブラウン管のミニテレビなどのレトロなアイテムと共に、キテレツな世界を展開していました。
村田朋泰05 村田朋泰02

村田朋泰03 村田朋泰04

村田朋泰01

ヴァリエテ本六がおそらく醸し出しているちょっと懐かしい雰囲気も相まって、まるで村田さんの映像世界に入り込んでしまったような感触が楽しいインスタレーションでした。

その日に開催された村田さんのトークショー。
ぜひ聞きたかったのですが、満席で伺えず、残念...。
あの独特の世界を作り上げるアイデアの源や制作過程のエピソードなど、機会があればいろいろとお話を伺ってみたいです。
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2006年11月28日

review:フォトプレミオ 木内美羽写真展 mius exhibition《11/25》

フォトプレミオ 木内美羽写真展 mius exhibition
コニカミノルタプラザ ギャラリ−A
東京都新宿区新宿3-26-11 新宿高野ビル4F
11/21(火)〜11/30(木)
10:30〜19:00(最終日:〜15:00)
木内美羽 コニカDM.jpg

B GalleryでDMを見つけて「これはきっと面白い!」と思い、コニカミノルタプラザ ギャラリ−Aへ。
いや、アングラな感覚が充満した文句なしにかっこいい展示です。


木内美羽01

普段過ごす日々で気にも留めずに通り過ぎてしまう、さまざまなもの。
そこに敢えて焦点を当て、人の手、あるいは自然現象によって意図がないままに構築された無機的な光景。
その無機的な光景が内包する抽象的なバランスが醸し出す寡黙なクールネス。

木内美羽03

塗装されたトタン板に湧く錆の茶色のグラデーション。
コンクリートやアスファルトのざらついた無彩色。
地面に落ちたままの布やテープの色彩の意外なまでのカラフルさ。
きっとそこかしこにあるはずの光景がカメラによって四角く切り取られピックアップされることで作り上げられたミニマルワールド。 実際の景色のなかでは淀み、沈んでしまっている色彩は、本来持ち合わせる鮮やかさがぐっと引き出され、赤や緑や青が信じられないくらいの生命感を宿らせ、その明るさや力強さを画面からいきいきと発散させています。

あたかも狙ったかのようなかっこいい世界がそれぞれの写真のなかで展開され、本来生命からもっとも遠いところに存在するような光景や物質が、寡黙に、しかし力強く、観る者を圧倒してきます。
そういった作品が同じ大きさのパネルにマウントされ、グレーの壁に同間隔で配置、展示され、実に深くアーバンな世界が作り上げられています。

ひとつのテーマの軸がしっかりと存在していながら驚くほどさまざまな色彩が放たれ、それでいてしっかりと統一感がある見応えのある展示です。

木内美羽02 木内美羽04

木内美羽05
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2006年11月27日

recommend:井上葉展「マンガと雑貨とイラスト展」

井上葉展「マンガと雑貨とイラスト展」
美篶堂
東京都千代田区外神田2-1-2 東進ビル1F
11/28(火)〜12/3(日)
11:00〜20:00(最終日:〜18:00)
井上葉DM.jpg

このブログのprofileに、僕の似顔絵とバナーを描いてくださった井上葉さんの個展が、お茶の水の美篶堂で開催されますよ奥さん!

タイトルにあるマンガと雑貨とイラスト、それぞれのなかに描かれる、思わず笑みがこぼれてしまう絵。
実在する人がモチーフだったら、その特徴がしっかりと捉えられているので、想像しながらイラストを眺めたりマンガを読んだりすると面白さがさらに膨らみます。
(僕をご存じの方は、profile欄のイラストをご覧いただければ分かってくださると思います。笑)

井上さんのサイトにも多く掲載されていますが、井上さんの日常を日記風に描いたマンガがとにかく面白いです!
ぜひぜひ、井上さんのほっこりとあったかくてかわいくて楽しい世界に足をお運びくださいまし!
posted by makuuchi at 07:52| Comment(0) | TrackBack(0) | recommend | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

recommend:11/27〜12/3

・海老原信幸展
アートギャラリー銀座
東京都中央区銀座2-11-4 富善ビル1F
11/27(月)〜12/2(土)
11:30〜19:00(最終日:〜16:00)
海老原信幸DM.jpg

箔のなかに埋もれるように大きめのカラフルなドットが散らばる背景と、そこに浮かぶ雲のようにキノコやお皿のシルエットが土の色で岩絵の具で描かれた作品です。けっこう和めます。


・セカイノミカタ06 坂田峰夫“FLOWER”
Gallery覚
東京都中央区銀座2-8-17 中川ビル3F
11/27(月)〜12/9(土)日休
12:00〜20:00(最終日:〜16:00)
坂田峰夫 覚DM.jpg

特殊な撮影法によって、透明感を全面に出した深遠な花のシルエットが画面に浮かぶ写真です。より可憐な雰囲気が印象に残ります。


・小木曽誠展/荒井経展
佐藤美術館
東京都新宿区大京町31-10
11/28(火)〜12/21(木)月休
10:00〜17:00(金:〜19:00)
小木曽誠展/荒井経展.jpg

圧倒的なスキルと構成で珠玉の写実画を描く小木曽誠さんと、深い青の世界を画面で展開する荒井経さんの展示が、佐藤美術館のふたつのフロアそれぞれで大きめの規模で開催されます。


・濱岡朝子展
新生堂
東京都港区南青山5-4-30
11/29(水)〜12/9(土)日休
11:00〜18:00(最終日:〜17:00)
濱岡朝子 新生堂DM.jpg

石畳を思わせる軽やかな色彩のチップが集まって描かれる魚の姿や街並み。なんともかわいらしい世界が楽しい気分にさせてくれます。
みゆき画廊での個展に続いて開催される、濱岡朝子さんの個展です。


早川剛展
K's Gallery
東京都中央区銀座1-5-1 第3太陽ビル6F
12/1(金)〜12/6(水)
12:00〜19:00(金:〜21:00/日:〜18:00)
早川剛DM.jpg

熱を帯びた混沌を画面に詰め込んだような、パワフルな抽象画です。
早川さんの世界をあの小さなスペースで体感したら、どんな感じなんだろう、と興味津々。


・忽那光一郎個展「風速0」
ヴァイスフェルト
東京都港区六本木6-8-14コンプレックス北館3F
12/1(金)〜12/28(木)日月祝休
11:00〜19:00
惣那光一郎 RW DM.jpg

WALLやDesperadoでの個展えを経て、忽那光一郎にとってホームグラウンドとも言えるヴァイスフェルトで満を持して開催される個展です。
とにかくあのクールな世界を堪能できるのが楽しみです。


KIYOSHI KURODA solo EXHIBITION "DISCOLOR"
NANZUKA UNDERGROUND
東京都渋谷区渋谷2-17-3 渋谷アイリスビルB1F
12/2(土)〜12/29(金)月火休
13:00〜21:00
黒田潔DM.jpg

渋谷のAnd Aでの3人展にも参加されていた、黒田潔さんの個展。
まず、NANZUKA UNDERGROUNDで開催されるというのが興味深いです。
posted by makuuchi at 07:27| Comment(0) | TrackBack(0) | recommend | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月26日

review:第15回奨学生美術展《11/19》

第15回奨学生美術展
佐藤美術館
東京都新宿区大京町31-10
10/4(水)〜11/19月休(10/9開館、10/10休)
10:00〜17:00(金:〜19:00)
奨学生DM.jpg

佐藤美術館がこれまでに奨学金を支給したアーティストが取り上げられるこの奨学生美術展。
今回は、既知の作家の参加も多く、見に行かなければと気にしていたのですが何とか最終日に滑り込みで見に行くことが出来ました。

もっと早めに見に行っておけばよかった...ちょっと後悔。。。

既知のアーティストの大きな作品を観られる良い機会だけではなく、ここで知る未知の個性に出会えたのも、僕としては大きな収穫でした。


まず、初めて知ったアーティストのなかで特に印象に残ったのが、峰岡正裕さん、遠藤悦史さん、李京煥さん。

峰岡正裕さんは、今年のMOTアニュアルでもピックアップされた長沢明さんにも通ずるような、妖獣が画面のなかにダイナミックに描かれた作品。しかし画面はフラットで、だからこそ絵そのものから、物語がイメージされます。時代物を連想させる和の色彩構成もいい感じです。
遠藤悦史さんは油彩で、最近こういった雰囲気の油彩の作品が面白く感じられているということもあって、すごく興味深く拝見しました。木材を感じさせる色彩で、ある部屋、空間の一角の光景を美しい直線で幾何的に描き切っています。チェアや階段などが自然に織り込まれ、幾何的であるにもかかわらずどこか人の温もりも伝わってくるような感じも。
李京煥さんは銅版画で、妙に肉感的な人の写真がコマ送り風に配置された部分と強い勢いで水を排出している蛇口。いわゆる「もの派」の作品に近い前衛的な雰囲気が充満しています。今、これをやるというのが面白いかも、と。


既知のアーティストの作品は、それぞれが持つ個性やポテンシャルを発揮した力のあるものが多いように思えたのも嬉しかったです。

すでにビッグネームの感もある松井冬子さん。尾長鶏の尾、あるいは菊の花弁を思わせる模様が赤茶けた画面に浮かび上がっていて、おなじみの幽遠な、乾いた妖しさに満ちた作品。
龍口経太さんもおなじみのメイドがモチーフ。黒い羽を羽ばたかせて宙に浮く全身黒尽くめのメイドが純白に染め上げられた板に描かれています。これだけの雰囲気を描き出せるそのポテンシャルに注目しています。
松永龍太郎さんは、箔を用いて若干荒れた無機的な質感を持つ画面に1機、人工衛星が浮かんでいるといったもの。最先端のモチーフが日本画的な画面に乗っていることの痛快さが楽しく、かつそのセンスが頼もしいです。
田中恵美さんの木版画。さざ波が寄せては返す静けさを木版で繊細に再現した作品で、田中さんの作品はほぼすべてこのモチーフなのですが、けっこうな大きさの画面の隅々までに行き届いたていねいな仕上がりと、だからこその遠くまで広がっていくイメージが心に穏やかさをもたらしてくれる、やさしい味わいに満ちた作品です。


招待作家の作品、そして昨年の美術館買い上げ作品も。
集治千晶さんのカラフルな銅版画。人の手を連想させるモチーフが画面のそこかしこに飛ぶように描かれ、銅版によるカラフルな色彩のフラットな広がりと混ざりあってなんともアッパーな浮遊感に満ちています。
一方、神戸智行さんは渋くも軽い独特の構成と仕上がりが気持ちいい作品です。沢の爽快感が伝わってきて、瑞々しさが目と心を清らかに刺激してくれます。
高島圭史さんの作品は、昨年の同じ場所で、そして今年の春に開催された個展でも拝見した作品。薄い緑の蓮が一面に広がる艶やかな光景のどこまでも遠くへと続いていく奥行きの臨場感が素晴らしいです。


ホント、できることなら会期の早い時期に一度伺っておいて、何度か足を運びたかったなぁ、と。
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review:二人展(泉東臣・三枝淳)《11/13、11/18》

二人展(泉東臣・三枝淳)
みゆき画廊
東京都中央区銀座6-4-4 銀座第二東芝ビル2F
11/13(月)〜11/18(土)
11:00〜19:00(最終日:〜17:30)
泉・三枝DM.jpg

「妖」と「剛」。
異なるふたつの突出した個性の響宴。
芸大デザイン科を修了されたアーティストのは僕がよく知る方が多いのですが、そのなかにあって、特異な存在感を放つ二人、泉東臣さんと三枝淳さんの展示です。

三枝淳さんは、岩絵の具や箔といった日本画の素材を用いた古来から連綿と伝わる花鳥画的な作品を描かれるのですが、それらの作品に充満する、過剰な洗練、妖艶さに呑まれるような印象を覚えます。
金属の箔が施された画面を背景に描かれる、妖しい色彩を放つ花。強烈な芳香が画面からも伝わってくるような感じです。

泉・三枝04

泉・三枝05

そして、大作になるとそういった妖しい要素がひとつの画面に集められ、「虚」の世界を構築します。
荒廃した空間、そういった場所だからこそその美しさを誇示するかのような花や鳥。そのギャップが醸し出す雰囲気は、ある種過激ともいえる妖しい雰囲気を充満させています。
こういった風合いの作品は油彩で描かれることが多いと思うのですが、岩彩で描かれ、独特のマッドな質感が強調されているせいか、より乾いた感触もユニークに感じられます。

泉・三枝01 泉・三枝02

泉・三枝03


一方、泉東臣さんの作品は、その独特の画面表面の立体感と背景の茶系の色彩とで「剛」の世界が展開されています。
ただ、これまで続けて拝見しているなかでは一瞬「木彫?」と思わせるほどの立体感の過剰さが影を潜めた作品もあり、より洗練され、深遠な味わいが感じられます。
さらに、その立体的なマチエルをもった画面を3つに分割して展開されるなど、構成にもユニークさが感じられます。

泉・三枝08 泉・三枝09

泉・三枝10

泉・三枝06

こういった立体感溢れる画面に収められる小さな花。
ひとつひとつの儚い生命が繋いできた、果てなく長い時間を感じさせる奥深さが感じられます。

泉・三枝07


まったく違う画風を持つこの二人のアーティスト、付き合いはずいぶん長いようで。
それぞれが歩む個性のベクトルの差が、むしろお互いの個性の強さを引き立てあっていて、かなり見応えのある空間が作り上げられていました。
posted by makuuchi at 11:11| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月25日

review:SCOUTED! vol.2 大畑伸太郎 田代裕基《11/21、11/23》

SCOUTED! vol.2 大畑伸太郎 田代裕基
ギャラリーエス E zone
東京都渋谷区神宮前5-46-13 ツインエルビル
11/21(火)〜11/26(日)
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)
SCOUTED DM.jpg

GEISAI#10でyukari-art inc.賞を受賞したアーティストの二人展です。

まず、木彫の田代裕基さん。
ひとかたまりの木のブロックから彫り出され、丁寧に彩色が施された動物の頭部が壁沿いに設置された台の上に一匹ずつ配置されています。
素材の重量感と、作る過程そのものにかかったパワーの痕がしっかりと残ったどこか無骨な表面の肌質。同時に、妙にその動物たちのどこか無垢な表情が、なんとも渋く感じられます。
そして、巨大なこけし型の姿なのがまたいい感じで、ちょうど抱きかかえられるくらいの大きさであることに愛着が生まれてきそうです。
実際に見ると一瞬圧倒されるんですけど、ずっと見てるとだんだんかわいくなってくる(笑)。

田代裕基03 田代裕基04

田代裕基02

床に置かれたカエルたちのコミカルな表情。押すと転がっていきそうな玉みたいな姿も面白いです。

田代裕基01


もうひとりのアーティスト、大畑伸太郎さんは平面と立体との構成。
全体をおおう深い紫で滲むように描かれた光景が印象的で、まるで雨上がりの夕闇の湿度が再現されているかのよう。原付バイクや自動販売機など、現代の光景のアイコンが描かれていて、絵の世界に親近感を覚えます。
色彩感と色の重なり方は、東京国立近代美術館にある須田国太郎に所蔵されている僕が大好きな紫の絵を彷佛させます。

大畑伸太郎03

その絵の世界から来た女の子と、何らかの動物(羊?)が2本足で立った男。芯に使用されているのは発泡スチロールだそうで、それに貼られた紙に絵と同じような色彩で染め上げられていています。
女の子のどこまでも素朴で無垢な表情。俯いて加えたタバコに火をつける羊の仕草が醸し出す味わい深い感覚。これらが絵の夜の風景の前に配置され、その世界にイメージが自然と引き込まれていくような印象を思えます。

大畑伸太郎04 大畑伸太郎02

ファイルを拝見したら、女の子はもともと絵の中にいたようです。
奥の壁1面で展開された世界の独特の雰囲気はすごく印象に残ります。もっとたくさん、いろいろと観てみたいアーティストです。

大畑伸太郎01
posted by makuuchi at 08:39| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

review:泉湧く庭 朝日聡子展《11/19》

泉湧く庭 朝日聡子
switch point
東京都国分寺市本町4-12-4 1F
11/16(木)〜11/21(火)
12:00〜19:00(最終日:〜17:00)
朝日聡子DM.jpg

窓のような画面の中に収まった、未来の風景。

僕にたくさんのユニークな個性との出会いを今だにもたらしてくれる、2004年のシェル美術賞展。
僕自身がアートに触れて間もない頃に見に行ったこともあってか、そこで展示されていた作品群が大変新鮮に感じられ、その後、それぞれのアーティストの個展など情報があれば可能な限り足を運んでいるのですが、拝見してさらにその個性が持つポテンシャルに驚くこともしばしば。
朝日聡子さんもそのときに作品を拝見していて、くっきりとした青い画面が印象に残っていました。

switch pointははじめて伺うギャラリーということもあり、どんな感じの展示になっているんだろうと興味津々だったのですが、おそらくもともとはカフェだったことを伺わせるような内装の空間に、木の丸板などに描かれた鳥や花や風景が織り込まれた絵がまるで丸い窓のようにずらりと並んで展示されていて、まるで窓から未来の光景を覗くような面白い空間演出になっていました。

朝日聡子03 朝日聡子04

朝日聡子02

くっきりとした色彩の重なりが織り成す軽やかな緊張感。
作品によっては背景の色面に使用される色にラメが入り、控えめに金属的なきらめきが加えられることで渋味を増した色彩が鮮やかなグラデーションを伴って広がる背景。森の景色を連想させるシルエットがくっきりと浮かび、そこに鳥が留まっていたり、あるいは遠くを飛ぶ影が点在していたり、花が咲いていたり...。
ユニークな画面構成が印象に残ります。

朝日聡子05 朝日聡子07

朝日聡子06

さまざまな色を纏った鳥や花は本来は季節感をしっかりと伝えてくれる存在であることが多いと思うのですが、朝日さんの作品ではちょっと違うように感じられます。
使用されている支持体そのもののかたちも影響してか、例えば背景の青やオレンジ色から空の色や時間のイメージは思いのほか浮かんでこなくて、もっと未来的な斬新さが小さな画面からぱあっと発散されているように思えます。

朝日聡子08

朝日聡子09

シェル美術賞で拝見した大きな作品ではその画面の広さからダイレクトにイメージされるダイナミックなスケール感もまたぜひ味わってみたいと思うのですが、今回拝見した個展では比較的小さめの画面の作品にシンプルに展開され、ほぼ同じ大きさの画面が並べられることで豊かにバリエーションが提示されていて、凛とした色彩の重なりに未来的なイメージが刺激されます。

もっといろんな空間で、朝日さんの世界に触れてみたいです。

朝日聡子01
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2006年11月24日

〜11/23のアート巡り

《11/21》
☆SCOUTED! vol.2 大畑伸太郎 田代裕基
ギャラリーエス E zone
東京都渋谷区神宮前5-46-13 ツインエルビル
11/21(火)〜11/26(日)
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)
SCOUTED DM.jpg


・FOOD モグモグ5人展
ギャラリーエス E zone
東京都渋谷区神宮前5-46-13 ツインエルビル
11/21(火)〜11/26(日)
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)
モグモグ5人展DM.jpg

5人のアーティストにそれぞれが食べ物をモチーフにした作品を展示した軽やかなグループ展。
そこで、正面の壁に展示されていたいしかわのぞみさんの作品のかわいらしさがいい感じ。額もキャンバスにいっしょに描かれていたり、足元にねずみが1匹いたりするユーモアも楽しいです。
加えて、販売もされていたノートが最高!

いしかわのぞみ01 いしかわのぞみ02


・KOICHIRO KUTSUNA「WIND SPEED 0 〜風速0〜」
http://www.desperadoweb.net/i
東京都渋谷区桜ヶ丘町4-23-1F
11/9(木)〜11/22(水)不定休

WALLでの個展も紹介していて、今年12月にはレントトゲンヴァイスフェルトでの個展も控えている惣那光一郎さんの展示。
夜の闇に輝く照明の未来的なクールネスをたたえた写真群と合わせて、映像作品も。これがすごくかっこいい!
万華鏡のなかで惣那さんの写真が動き、鏡に映ってその写真が持つ幾何的な部分が鮮烈に引き出され、すごくアーバンな世界が展開されていました。


《11/23》
シェル美術賞展2006
代官山ヒルサイドフォーラム
東京都渋谷区猿楽町18-8 ヒルサイドテラスF棟1F
11/22(水)〜12/3(日)
10:00〜19:00
シェル美術賞2006DM.jpg


・紺泉 プレゼントの過去 〜 pattern works
GALLERY at lammfromm
東京都渋谷区上原1-1-21 山口ビル1F
11/18(土)〜12/28(木)
月〜金:12:00〜20:00/土:11:00〜20:00/日:11:00〜19:00
紺泉DM.jpg

草間彌生や奈良美智といったビッグネームのグッズに溢れたショップの壁一面とそこに面したスペースで展開されるGALLERY at lammfrommでの紺泉さんのエキシビジョンです。
奥の一角で展開されている、ちょっと厚めのパネルに絹が張られた支持体に描かれた3点でひと組の作品、そしてその前に置かれた、部分的に彩色が施された革張りの椅子によるインスタレーションが興味深いです。絹の画面のやわらかな手触りも思い浮かぶ繊細でしっとりとした質感、そこに描かれた植物やアクセサリーが醸し出す高貴な雰囲気。椅子の存在には人の残り香というか、その椅子の主がそこで過ごした時間のイメージが伝わってきます。妙に大人びたファンタジックな世界です。
この展示と合わせて、紺さんの絵がプリントされた白いお皿が展示されていて、これがまたいい感じなんです。艶と透明感のある白に乗る、サングラスやスニーカー、ルージュ、またはブロッコリーやみょうがの絵。鮮やかな明るい赤や、サングラスのグラス部分の淡いグラデーションなど、軽やかさが気持ちいい!
こういったアートの活かされ方っていいなぁ、と。


☆さかぎしよしおう展
GALLRIE ANDO
東京都渋谷区松濤1-26-23
11/7(火)〜11/25(土)日月休
11:30〜19:00
さかぎしよしおうDM.jpg


・きえるまえ 上村晴美
人形町Vision's
東京都中央区日本橋堀留町2-2-9 ASビル1F
11/20(月)〜11/25(土)
12:00〜19:00(最終日:〜17:00)
上村晴美.jpg

感熱紙を使った、その行為の痕跡の提示の仕方がたいへん興味深い展示です。
レースの花柄模様をハンディスキャナーで取り込んだものを用いたコラージュと、そこから派生してできあった作品など。
なかでも深遠な雰囲気を醸し出していたのが、感熱紙のロールを使った作品。一見してまるで墨絵!ドライヤーとテレピン油を駆使して、長いロールにモノクロームの絵が展開されていて、延々と続く水の流れや深い霧に淀む光景などを連想させる画面がすごく面白い雰囲気をつくり出していました。

上村晴美03 上村晴美01 上村晴美02


・奥野淑子展 ―木口木版からの誘い―
OギャラリーUP・S
東京都中央区銀座8-11-3 山田ビル2F
11/20(月)〜11/26(日)
12:00〜20:00(日:11:00〜16:00)
奥野淑子DM.jpg

木口木版の奥深さ、技法としてのポテンシャルの高さを実感する、繊細な線で展開される作品です。
凸版なので彫った部分が白く抜けるのですが、銅版のそれとは異なる静かな黒の中に浮かび上がる白の線で描かれる花、葉、鳥の姿は、まるで闇夜に輝いているかのよう。
ホントに細かい仕事が小さな画面のなかで展開されていて、見応えは充分です。

奥野淑子01


シミズチハル展
store & gallery S.c.o.t.t
東京都中央区銀座7-7-1 幸伸ビルB-1
8/8(火)〜8/13(日)
11:00〜20:00(最終日:〜19:00)

パステル画です。
緑や青が暖色の中に自然に織り込まれ、ふわりとした色の広がりが醸し出すあったかい質感が、朝晩の空気がだんだんと冷たくなってきたこの季節…深まる秋にぴったりです。

シミズチハル01 シミズチハル02


☆ジャッピー来臨 Advent of Jappy − Antenna
Takuro Someya Contemporary Art
千葉県柏市若葉町3-3 TSCA KASHIWA
11/23(木)〜12/17(日)水木・11/26休
12:00〜19:00(最終日:〜17:00)
ジャッピー来臨DM.jpg
posted by makuuchi at 19:37| Comment(2) | TrackBack(1) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月23日

review:荒木光信 漆芸展 ― URUSHI WORKS ―《11/19》

荒木光信 漆芸展 ― URUSHI WORKS ―
ars gallery
東京都渋谷区神宮前5-13-1 アルス表参道
11/14(火)〜11/26(日)月休
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)
荒木光信DM.jpg

手のひらに乗る宇宙。

なかなか漆芸の展示を拝見する機会はないのですが、この展示をars galleryのホームページで紹介されているのを見つけてこれはぜひともチェックしなければ、と思い立ち、行ってきました。
1FとB1Fの螺旋階段で繋がるふたつのフロアで構成されるひとつのホワイトキューブに、実に丁寧な仕事が施された漆芸作品がいろいろと展示されています。

台の上に置かれたさまざまな用途の作品。
手鏡や書道に用いる水滴、小物入れ、アクセサリーなど、それぞれ用途ごと、かたちごとに台の上にていねいに並べられています。
それらを眺めていると、ホントにそれぞれの作品がひとつの宇宙であるかのように、小さいながらもしっかりとした存在感を放っています。

そこに施された絵柄も美しいです。磨き込まれ、まさに「漆黒」という言葉の通りに深い艶をもった黒。そこに貝や金などを取り入れて描かれる花や蛙、蟹などといった蒔絵は、夜空に浮かぶ星座が織り成す壮大な絵のようにも感じられます。
また、金の模様が放つ輝きに溢れた世界にも魅せられます。金色の細い線と色面とによる優雅で緩やかな広がりが漆黒の闇にひとつの流れを生み出し、そこからちいさな星が沸き上がるように細かい金色のドットが溢れていて、そのなかにある宇宙にさまざまなイマジネーションが喚起させられます。

荒木光信04 荒木光信05 荒木光信06

1Fに展示された小品を、荒木さんに許可をいただいて手に取ってみたのですが、その手触り、そのまま宙に浮かび上がってしまいそうな軽さは金属とはもちろん、木製のものともまた違う独特の温かみが伝わってきます。これだけ丁寧で細やかな仕事が詰まったものが手のひらに収まっていることに感動を覚えます。

B1Fにある小箱はこの展示の中でもっとも大きな作品。
その存在感は、圧倒的です。この大きさであっても充分にダイナミックに感じられます。

荒木光信07


小品と合わせて、壁にも作品が展示されています。これらがまた素晴らしい。
黒い板の上に浮くように据えされた有機的な形体。磨き込まれた艶やか曲面部分と、艶のない黒と焦茶色との色彩による敢えて凹凸感が表出された部分とが織り成す奥行き。そこにさらに金や貝によって細やかな模様が施されていて、まさにひとつの空間が作り上げられています。
壁から浮かぶひとつひとつの小さな立体空間が放つ深遠な世界をじっと眺めるだけで充分に、恍惚とした感じに包まれます。

荒木光信02 荒木光信03

荒木光信01


荒木さんの手による漆芸の奥深さ、繊細さ、そして連綿と伝わる漆芸の技術に取り込まれる新しい感覚がしっかりと伝わってきます。こういった展示がホワイトキューブで展開されていることも大変面白く感じられます。
この荒木さんの世界は、作品を照らすスポットや眺める自分の姿さえもが漆黒の小さな空間に映り込む様子などもあわせて、ぜひとも実際の大きさを実感しながら味わってほしいです。
posted by makuuchi at 06:33| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月22日

review:金田勝一関連展示《11/11、11/18》

金田勝一・プラモ風景画展
東京画廊
東京都中央区銀座8-10-5-7F
11/10(金)〜12/2(土)日月祝休
11:00〜19:00(土:〜17:00)
金田勝一 東京画廊DM.jpg

金田勝一 DROP EVO 3
戸村美術
東京都中央区京橋2-8-10 丸茶ビルB1
11/10(金)〜12/2(土)日祝休
11:00〜19:00
金田勝一 戸村美術DM.jpg

ふたつの会場で同時に開催されている金田勝一さんの個展。
それぞれ違うタイトルながら、ほぼ共通のテーマを取り上げた展示になっています。
そして、両方チェックしてより深く楽しめる企画構成です。

まず、東京画廊での展示。
こちらにはタイトルに「風景画」とあるように、平面の作品が中心の展示になっています。
たっぷりとした広い空間に、酔うほどに潤滑油の匂いが視覚的に感じられるジャンクアート群。ダイナミックな展示は壮観です。

東京画廊 金田勝一01

入り口から見渡せる空間には大きな作品が展示され、強烈な雰囲気が充満しています。
画面に数多く取り込まれている、レーシングカーのプラモデルに使用されるようなデカール類。メーカーのマークなど、画面にその「もの」が登場し感性をストレートに突いてくるような生々しさと、廃油のような重たい透明感を放つダークな色彩で描かれる動物や人物の姿とのギャップ。それらが同じ画面に投入されることで生み出された混沌は、その力で画面の世界に引き込むほどにパワフルです。
描かれるものは、デカールなどと同じ大きさでワンポイント風に投入されるものもあれば、画面を支配する大きさで描かれ、その色の影響ではすぐには気付かないほどのものも。画面上の汚れた色彩が何かに見える瞬間は相当スリリングです。

入口すぐの右手に展示された作品が、いちばん「風景」的な印象が強いかもしれません。
画面全体にどんよりと広がる白、その上に乗る煤けたグレーや廃油のような濁った透明感のあるブラウンが、画面そのものの物質的な大きさを実感させられます。そこに多く登場する人の姿はキャンパスを闊歩する学生のよう。。。
背景と、人の姿が織り成す光景とのギャップが作り上げるなんとも言えない違和感。実際に目にしてその生々しさがより強く感じられ、独特の重たくも力強く解放された雰囲気を醸し出しています。

東京画廊 金田勝一07 東京画廊 金田勝一08

東京画廊 金田勝一06

奥まった一角には、横長の小品がずらりと並んで展示されています。
それぞれの背景の色、そこにメインで投入されるキャラクターは作品によって様々。背景の色が濃い原色であれば、その画面がどこまでも深い異次元へと誘う入口のように感じられたり、また薄いグレー調だと殺伐とした未来を暗示しているように思われます。
「不良願望」が強く刺激されるような格好良さ、そんな印象を抱きます。

東京画廊 金田勝一02 東京画廊 金田勝一04

東京画廊 金田勝一03

そして、この空間の中央にある伊勢海老型のオブジェ。これが最高!
洗練されたフォルムを目にした刹那から、未来的なイマジネーションが猛スピードで広がっていきます。

東京画廊 金田勝一05


このオブジェは、戸村美術のコンパクトな空間に数台並んで展示されています。
暗い照明のなか、平面作品はさらにその世界が持つアバンギャルドさが引き出された空間。

戸村美術 金田勝一04 戸村美術 金田勝一05

その中央に細長く上方が明かりになっている台の上に置かれたオブジェ。下から白い光に照らされ、そのフォルムの未来的なかっこよさがまさに浮かび上がるように展示されています。これらが数台、それぞれ違うバリエーションの塗装が施されて展示されています。もう、文句なしにかっこいい・・・!

戸村美術 金田勝一02

戸村美術 金田勝一01

また、一角にはこのパーツの型もあわせて展示されています。
それぞれの部品の精密さに思わず目を見張ります。
組み立てる面白さにも想像を巡らせられます。作品と同時に制作過程をこういったかたちで提示されていることが大変興味深く、そして嬉しいです。

戸村美術 金田勝一03

ふたつの会場を通じてたいへん見応えのある展示です!
プラモデルをよく作ったという方は、その頃に持っていた未来への想像力を再び喚起されると思います。


※11/24(金)午前4:25からのフジテレビの「art lover」で、この金田さんの展示が取り上げられるそうです。
posted by makuuchi at 07:26| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月21日

review:増田洋美 ―PLAY THE GLASS-《11/18》

増田洋美 ―PLAY THE GLASS-
@湯島聖堂
東京都文京区湯島1-4-25
11/11(土)〜11/26(日)
9:30〜16:00

void+のスタッフの方にお知らせいただいたこの展示。
あたたかい土曜日の、午前中のひんやりとした空気がまだ残る正午頃、近くを通ることはあっても普段はなかなか入ることのない湯島聖堂へ。

庭の木陰を抜け聖堂へと向かうと、ぐにゃりと歪んだガラスのオブジェがお出迎え。
まず石段のいちばん下にひとつだけ。「これも作品なのかな?」なんて思いながら石段を昇ると、同じようなガラスのオブジェがそこかしこに置かれています。
カラフルなガラスのオブジェ。その彩りは、「遊び」の感覚を思い出させてくれます。
陽射しを受けて白く輝くものもあれば、樹木が陰になってやわらかな風合いを醸し出しているものも。

増田洋美06

門をくぐると、今度は鶴の立ち姿を思わせる透明度の高い青い瓶状のオブジェが、本道へと向かってずらりと配置されているのが視界に入ってきます。その様子は壮観です。
ひとつひとつ、少しずつ違う表情を持ったオブジェ。天上が広々と解放された聖堂の中の広場には秋の陽射しがおおらかに降り注ぎ、オブジェも輝きを放っています。

増田洋美05 増田洋美03

増田洋美04

これらがたおやかに弧を描きながら門のほうから本道へと続いていて、そのガラスの色からひとつの大きな水の流れが連想されます。
全体を眺めると、青い鶴の群れにも見えたり、水の粒子の集まりにも見えたり。
ダイナミックな空間が作り上げられています。

増田洋美01

増田洋美02

本道には、写真を撮りながら遊ぶ父子、椅子に座ってのんびりとひなたぼっこに興ずる方、本道の中の資料に目をやる学生が。
こういう場所で思い思いに時間を過ごすのもいいなぁ、そんな場所でこういうインスタレーションが展開されるのも素敵だなぁ、と。

この広場を囲む壁にはそれまでの増田さんの活動の記録や、プロジェクターでビデオの上映なども展示されています。

なんだかいい空気を感じることが出来た気分。
晴れた日に、ぜひ。
posted by makuuchi at 09:25| Comment(2) | TrackBack(1) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

review:大野修展 −SUPER NOISE SCULPTURE−《11/18》

大野修展 −SUPER NOISE SCULPTURE−
exhibit Live & Moris
東京都中央区銀座8-10-7 東成ビルB2
11/13(月)〜11/25(土)日休
12:00〜19:30(最終日:〜17:30)




奥さんちょっと見てくださいよこのDM。

大野修DM.jpg

なんですかねこれ。
なんかもう人をバカにしたようなイモっぽいベース。
こんなの絶対くだらないんですよ楽器やる人間としてハラ立ってくるわけですよ。















…。

















でも気になる...。












べ、べ、別に観たくて観に行ったわけじゃないんですよ!
たまたま近くに寄ったからちょっと覗いてみたわけですよ!!!








【exhibit Live & Morisのちっちゃいほうの入口】_・)ソー





あった―――――――――(゜∀゜)――――――――――!!!!!
あ、いや、別に、ちょっと観るだけですから!!!





・・・・・いやもう認めますよ、最高です。
かなり笑えます。

っていうか...

弾けるのかΣ( ̄口 ̄;)!!!
例のベースは実際の楽器と同じ大きさです。
ただ、ボディが石なので実際に弾くとなると絶対体壊しますけど( ´∀`)
ネックとボディもしっかりジョイントされていてびっくり。

音鳴るのかΣ( ̄口 ̄;)!!!
理屈ではちゃんとスピーカーアンプににつなげば音が鳴るように回路がマウントされています。
ノイズも案外少ないらしいです。

弦張ってあるしΣ( ̄口 ̄;)!!!
弦もちゃんと張ってあります(もっとも、弦自体は長さの問題からか、本物ではなくてワイヤーを代用していてありますが)。ブリッジやペグも実際に楽器に使用されるものが採用されていて、いちおうチューニングもできそう。

・・・まあ、12フレットが張ってある弦の真ん中になかったりネックが異様に太かったりといろいろ突っ込みどころはあるわけですが、それが逆にこの面白さを増大させています。むしろこのくだらなさを表現する上で楽器として最低限筋を通すところは通してある、その気概に大笑いしながら感服です。

大野修02 大野修03 大野修04

大野修01

いや、実際に音を鳴らしてみたいです。
石のボディってどんな音がするんだろう...。


壁に展示されたイラストもかなり面白い!
宇宙服だか作業服だかを着た人が出てきていろいろやってる絵。かっこいいです。

大野修06 大野修07


そして、もうひとつ展示されているオブジェの変な感じも最高。
台の上に2本足で立ってるピアノの鍵盤になんなんだお前はァァァァΣ( ̄口 ̄;)!!! と全身全霊を込めて心の中でツッコミを入れた次第で。

大野修05

なんだかこれかわいいなちくしょう( ´∀`)


ファイルと拝見すると、けっこうシリアスな石彫の作品もあったりして、大野さんの懐の深さもしっかりと垣間見れます。
いやぁ、面白かったです、大野さんの感性に完敗です。こういうやられ方は気持ちいいですよホント。
posted by makuuchi at 07:29| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月20日

review:蜷川実花展 -永遠の花-《11/17、11/19》

蜷川実花展 -永遠の花 1-
TOKYO WONDER SITE shibuya
東京都渋谷区神南1-19-8
11/11(土)〜11/26(日)月休
11:00〜19:00
蜷川実花TWS .jpg

蜷川実花展 -永遠の花 2-
TOMIO KOYAMA GALLERY
東京都江東区清澄1-3-2-7F
11/17(金)〜12/9(土)日月祝休
12:00〜19:00
蜷川実花 TKG DM.jpg


僕がアートにのめり込むきっかけとなったアーティストのひとり、蜷川実花さん。
ホントに見始めの頃に渋谷のパルコギャラリーでの蜷川さんの写真展「Liquid Dreams」で観たあの過剰に鮮やかな色彩のインパクトはしっかりと脳裏に刻まれていて、 いろんな金魚たちの艶やかな姿は今でも生々しく思い出すことができるくらいです。



ふたつの会場で開催されている今回の個展。
TOMIO KOYAMA GALLERYは、オープニングに行ってきました。

とにかく、蜷川さんらしい鮮烈な色彩に溢れています。

今回撮影されている写真に登場する花はすべて人工の花、造花で、南の島の墓地に眠る死者に捧げられたものとのこと。本来は生花が捧げられるべきところを、強烈な陽射しによって生花はすぐにダメになってしまうそうで、造花が飾られるといったことが蜷川さんのコメントに書いてありました。
大きく引き伸ばされた画面に一心不乱にその姿を晒す造花たちの一見して異様なまでに生命感に溢れたパワフルな原色に気圧される一方で、その迫力とは裏腹に(あるいはだからこそ)、向こう側にある「死」の芳香が漂ってくるような感じがします。


ちょうど今、最相葉月さんの「青いバラ」を読んでいます。
まだ読了していない上にしっかりと読み砕いていないのですが、淡々とした文体で綴られるこのノンフィクションによると、青いバラは古来から「不可能」を意味するのだそうです。

そのせいか、今回の蜷川さんの展示でいちばん僕の目が引き寄せられたのは、まさに「青いバラ」を撮った写真でした。
最相さんの本にもあるのですが、サントリーが開発したという青いカーネーションを偶然表参道で開催されていたイベントで観たのですが、そこで謳われた「青」は青と呼ぶにはいささか紫っぽくて、正直なところ微妙な感じがしたのですが、蜷川さんの写真のバラはまさに「青」。
「青いバラは美しいのか」という命題については、蜷川さんの写真を拝見する限り、衝撃的に美しい...。一方で、「不可能」がいとも簡単にそこに提示されていることへのなんともいい難い違和感も。


大きく映し出された花の画面の上に、さらにアクリルパネルの写真が立体的に展示されています。
後ろの写真と手前の写真と、お互いに強烈な主張を持った色彩が力づくでひとつの画面に詰め込まれたような感じです。


TOKYO WONDER SITE shibuyaでは、さらにダイナミックに展開されています。
壁いっぱいに展示された写真。ガラス張りの壁にもフィルムにプリントされた造花の写真が貼られています。
螺旋階段を上がった2階部分にも作品が並んでいるのでもちろん昇るのですが、2階の通り沿いの壁のガラスの窓、造花の色越しに雨の渋谷の風景を眺めて、なんだか虚の世界にいるような気分に。
さらに大きく引き伸ばされた青いバラにも圧倒されます。


永遠の花。
枯れることのない花の生命感。
それをこれほどまでに力強く、現実を突き詰めて虚へと入り込んだような世界を創り上げている蜷川さんの写真群に感服です。
posted by makuuchi at 23:54| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

review:打越月見 個展《11/18》

打越月見 個展
ぎゃらりぃ朋
東京都中央区銀座1-5-1 第三太陽ビル2F
11/16(木)〜11/23(木)日休
12:00〜19:00
打越月見DM.jpg

連綿と続くスタイルへのリスペクトと、「今」の感性とを感じます。


まず、入口左手のエキゾチックな雰囲気が緩やかに溢れる静かな人物画に意識が引き込まれます。
土色の淡い色彩。岩絵の具で描かれているせいか、どこかしっとりとした質感。
『乾いた水の中』…そんな不思議な感触が印象的です。

朋 打越月見02 朋 打越月見01


そして、正面に展示された大きな作品に目が向かいます。
落ち着いた照明のなかに、まさに浮かび上がるように横たわる人の姿。
DMに掲載されている作品で、DMで拝見してその独特の雰囲気が気になっていたのですが...

朋 打越月見12 朋 打越月見10

朋 打越月見11

木の温もり。板の目が生み出す流れ。
大きな板3枚組による大作です。
横たわる人の穏やかな表情や、その上にていねいに描かれているゆったりとたゆたう古代魚。板の温かい質感とともに、おおらかで落ち着いた雰囲気を醸し出しています。
板の焦げ茶色と描かれる絵の控えめなトーンの色彩とのコントラストが印象的で、まるで画面から淡い光が仄かに放たれ、絵の世界が浮かび上がってくるるようでもあり、また、色彩が薫るようにも感じられます。


板に直接描かれることでその板自体が持ちあわせている自然が生み出した豊かな模様が存分に活かされた作品が多く展示されています。
厚めの板に描かれて「箱」といった感じの額に収められたいたり、大胆にも木の節などが残った味わい深い板に描かれた花の絵は、実に細やかでていねいな線で描き切られ、花の可憐で凛とした表情が板の木目の上に見事に再現されています。特に、たった一輪だけ画面のなかに咲く彼岸花の存在感は格別で、あの繊細な花弁がしっかり描かれているのには思わず目を見張ります。

朋 打越月見04 朋 打越月見05

朋 打越月見03


同じく板絵で、さらに印象的なのが、2枚が対になった作品。金魚が登場するものと、さまざまなかたちを取る手を描いたものと。

朋 打越月見06 朋 打越月見07

流れるような黒の線で描かれた手の表情は雄弁です。さまざまなポーズの手が縦に連ねられていて、何かを唱えているかのよう。それでいて重たい感じはなくシンプル。時間をかけて眺めていてもそれにしっかりと応えてくれるような気がします。

朋 打越月見08

朋 打越月見09

ぎゃらりぃ朋らしい、独特な世界を持ったアーティストです。
posted by makuuchi at 22:28| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする