東京藝術大学大学院デザイン専攻描画・装飾研究室 波濤の会
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松坂屋銀座店別館4階美術画廊9/27〜10/3
東京都中央区銀座6-10-1(住所は本館)10/18(水)〜10/24(火)
10:30〜19:30(最終日:〜17:00)

僕がアートのめり込むきっかけとなった企画のひとつ。
毎年この時期に開催される、芸大デザイン科の研究室の現役・OBを集めたグループ展です。
本格派の日本画からかなりポップなフィーリングのものまでさまざまな個性が集まっていて、毎回そのバリエーションの多さに楽しませてもらっています。
今年のも面白かったです!
山本陽光さんの作品を拝見するのははおぶせ以来。
今回は、木の実を加えた白い鳥が家々が並ぶ街並を眼下に飛ぶ、なんともピースフルな作品が2点。
街並はそれぞれ黒面に青の線で描かれたものと、ピンクと薄茶とのグラデーションで彩られたものとがあって、お互い「昼と夜」、あるいは「北と南」という具合に呼応しているように感じられます。
素朴な感じの太い線の、素朴だからこそのピュアな質感とが印象に残ります。街並に紛れた「陽光」というサインもコミカルです。
ebcアトリエ展で拝見した食材や花の絵が印象に残っていた堤岳彦さんは、今回の展示のなかでもっとも意表を突く展開の作品をもってきていました。
お菓子のパッケージを展開して重ねて作った支持体をカラフルに彩色したもの。それぞれ黒と赤と黄色、青白黄茶ピンクの構成で、幾何学的なかたちの組み合わせからたっぷりのユーモアが発散されています。パッケージのかたちが建物に見えたり都市に見えたりといった具合に、自然にイマジネーションが喚起されるユニークな作品でした。
つねづねもっといろいろ拝見したいと思っている岡部忍さんの作品。
油彩で展開されるその静謐感は独特です。
今回は、ガラスの容器がモチーフとなった作品が2点並んでいます。暗がりに置かれた容器のなかにはりんごがひとつ。薄いグレーの光景には「から」の容器がぽつんと置かれています。
それが何であるか、そこがどこであるかが漠然と認識される程度の描かれ方が、いろいろと想像を膨らませてくれるような感じです。大きな作品ではありませんが、時間的な広さが伝わってきます。
ふたつの作品のどちらにもその静けさにすっと自然に気持ちが溶け込み、馴染んでいきます。この心地よさは岡部さんの世界ならではです。
ここで初めて作品を拝見していちばん驚いたのが、岡田直樹さん。
分厚いスクエアのパネルに描かれた女の子の絵に充満する雰囲気がすごくて、デザイン科にはちょっこれまでなかったテイストです。
壁とテーブルとがざらりとした白で一体化しているなか、ソファに腰かけ、テーブルに臥せる女の子がひとり。おぼろげな思いに耽るようっているような表情で、焦点が合っていない感じの目には静かに力が伝わってきます。一方、セーターの繊維や髪の流れ、手の皺などは実に細かく再現されているのにも目を見張ります。
もうひとつのテディベアを描いた作品も面白かったです。
今後が本当に楽しみな個性です。
今回目立つのが、猫が登場する絵。
野地美樹子さんのおなじみ「イスシリーズ」、長い背もたれのチェアにちょこんと丸くなっている猫。
冨田典姫さん、麗らかな気候の中で、眠たそうな表情で木にもたれる姿がなんとも愛らしい猫。
日根野裕美さんが描く猫は、ふわりと描かれた毛のやわらかさがまるで生まれ立てのよう。
三島祥さんの後ろを振り向く白い猫の凛とした表情。
それぞれ独特な雰囲気を醸し出していて楽しめました。
もちろん、他の作品もそれぞれ充分な見応えで。
瀧下和之さんが描く昇竜図のまさに現在、リアルタイムのクールさを纏っていてホントにかっこいい!他のポップカルチャーと組み合わせて楽しみたい感じです。
本格の雰囲気のなかに収められたユーモアがたまらない阿部穰さん。亀の上にちょこんと座り、遠くへと視線を投げる猿のコミカルさ、黒と白のユーモラスなコントラストが楽しい金魚。
押元一敏さんは、抜けるような空を背景に、画面に彫像の一部が登場する構成。白と青の色彩が清々しい!
金丸悠児さんの作品は、もうすぐしらみず美術で開催される個展が待ち遠しくなってくるような、さらに新しい展開。眠る犬と風車の構成がすごく面白いです。
名古屋剛志さんは
今年のC-DEPOTで発表された作品からの展開が引き続いたような、空と海とを合わせたような独特な風合いの青が印象的な作品。
松永龍太郎さんは、箔が醸し出す凛とした風合い。優雅に蝶が美しく舞う姿が印象に残ります。
井上恵子さんが描く世界も面白いです。メルヘンチックな異国のイメージが広がっています。
濱岡朝子さんや渡邊史さん、川本淑子さんの変わらぬ個性、泉東臣さんや三枝淳さんの力強い個性に再会できたのも嬉しいです。